【比較試乗】「BMW 1シリーズ vs 2シリーズグランクーペ vs 2シリーズグランツアラー vs X2」アナタならどのモデルを選ぶ? BMWのFFコンパクト大研究!

FF化のメリットが感じられる1シリーズ

現行の1シリーズは“ARB”と呼ばれる機能を備えている。これは簡単に言うと反応がすこぶる早いトラクションコントロールのようなもの。そもそもARBが最初に導入されたのはi3で、急激にトルクが立ち上がることによるパワーアンダーステアを抑える目的だった。1シリーズはi3ほどのパワーを持ち合わせていないものの、旋回中に駆動力をかけて挙動が乱れるような場面で有効なデバイスだ。つまり、基本的にARBはスロットルペダルを踏まないと作動しない。

BMW M135i xDrive

1シリーズのターンインでの頭の入り方がまるでFRのようで、それがARBの効果であるとする向きもあるようだけれど、セオリー通りの運転をしていれば、減速の後のターンインの段階ではスロットペダルを踏んでいないはずなのでARBの影響とは考えにくい。むしろ、“BMWパフォーマンスコントロール”が作用していると考えられる。これはブレーキを使ったトルクベクタリング機構で、旋回中にイン側の車輪にブレーキをかけることでLSDに似た効用が期待できる。実際1シリーズは、エイペックスに向かって磁石で引き寄せられるような頭の入り方をする。こうした挙動はFFではあまり見かけない。FRの駆動形式に長くこだわってきたBMWの、FFの操縦性に対する新しい提案なのだろう。

BMW M135i xDrive

ハンドリングに特徴付けをした1シリーズで、実は個人的に感心したのはパッケージである。従来型の後席は大人ふたりにはちょっと厳しかったが、現行モデルになってそれが大きく改善されていた。さまざまな事情や都合でFF化されたものの、FFとしてのメリットをきちんと反映させたクルマ作りの現れである。

BMW M135i xDrive

フォト=郡 大二郎/D.Kori ルボラン2021年3月号より転載

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