「アウディ RS5 クーペ」獰猛でありエレガンス。ライバルとは一線を画す、秘められたスポーティネス【2021 Audi RS SPECIAL】

Audi RS 5 Coupe
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エレガントなクーペフォルムをまとい、RSファミリーの中で最も優美な佇まいを誇るRS5クーペ。しかしその走りは、ライバルのメルセデスAMGやBMW Mを突き放す、知的で猛々しい、独自の世界観を堪能させてくれる。

RS5クーペは走る愉しさを教えてくれる

まず注目していただきたいのは、その美しいスタイリングである。2ドアクーペの模範的なプロポーションのなかに、スポーティな切れのよさとしなやかな躍動感が絶妙なバランスでブレンドされたデザインは見事としかいいようがない。とりわけ目を見張らされるのがボディ前端からリアエンドまでを貫くキャラクターラインで、見る角度によって、これが優雅な曲線にもシャープな直線にも映るトリックが仕掛けられている。さらに、自分の立ち位置を少しずつずらしながら眺めてもプロポーションが崩れて見えるところがない3次元的造形美の完成度はアウディならでは。これだけのスタイリングに仕上げるのにどれほどの才能と時間を要したのか、私には想像さえできない。

Audi RS 5 Coupe

Audi RS 5 Coupe/アウディRS5 クーペ

走りの基本となるプラットフォームはRS4アバントと共通だが、もちろんRS5クーペ専用の味つけが施されている。ステアリングを握った瞬間に伝わってくる軽快感は、RS4アバントより60mm短いホイールベースと70kg軽い車重だけによってもたらされたものではあるまい。まずはパワステの設定を見直して操舵力を軽めにするとともに、サスペンションはダンパーよりもスプリングを前面に押し出したセッティングにすることで、クーペに相応しい身軽さを表現したのではないか。あえて誇張した表現を用いれば、ずっしりとした重厚感を伝えるRS4アバントに対して、RS5クーペはふわっと浮き立つような軽快感が心に残る。

もっとも、これは乗り心地のイメージを伝えるための言葉であって、4輪の接地性は極めて優秀。おかげで波打つような路面でもサスペンションは正確に追随し、ロードホールディングがわずかにでも薄れることはない。したがって、クラウンギアディファレンシャルによって前後に40:60の比率で配分されるエンジントルクは、いつ途切れるともなく安定して路面に伝え続けられる。結果的にステアリング特性が唐突に変化することは皆無。それでいて、一般に4WDというメカニズムから想像されるターンインの鈍さもなく、常に俊敏で正確なハンドリングを堪能できる。

パワーユニットはRS4アバントと同様、2.9L・V6ツインターボと8速ティプトロニックの組み合わせ。標準装備のDRC(ダイナミック・ライド・コントロール)付スポーツサスペンションプラスなども相まって軽快な乗り心地を実現。

エンジンの印象はRS4アバントと共通で、パワフルにして鋭敏。抜けがよく、しかも純度の高い快音が耳に届いてくるところも変わることがない。その音色の美しさは、V6であることが信じられないほど。また、トルコン式8速ATをマニュアルモードとしたとき、右側のシフトパドルを引き上げるたびにアフターファイアーのごとき「バフッ!」というサウンドを奏でてくれる点も、ドライバーのやる気をほどよくかき立ててくれるはずだ。

5アームフラッグデザインのアルミホイールにRSロゴがあしらわれたレッドキャリパーとセラミックブレーキを装着。

典型的なファストバックのルーフラインに仕上げられているにもかかわらず、十分な後席スペースが確保されている点もアウディらしい。ちなみに身長171cmの筆者が前後に腰掛けた場合、後席でも頭上に8cmほど、ひざ周りには10cmほどの余裕が残った。

試乗車はオプションのカーボンスタイリングパッケージを装着。

スポーティな走りが満喫できるRS5クーペは、アクティブなあなたのパーソナルライフを華やかに彩ってくれることだろう。

メーターパネル内の12.3インチディスプレイには、スピードメーターやタコメーターの他、トルク値やGフォースなどの情報も表示可能。

RS専用のディテールが随所に散りばめられている。

photo=岡村昌宏/M.Okamura(CROSSOVER) ルボラン2021年3月号別冊付録より転載

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