【比較試乗・ミドルワゴン編】「メルセデス・ベンツEクラス・ステーションワゴン×BMW5シリーズ・ツーリング×アウディA6アバント」これがアッパーミドルワゴンの最前線

A6で明らかとなるアウディ流の洗練度

こうした、ドライバーへの訴えかけの巧みさはBMWならではの魅力でありスポーティさを際立たせる。さらに、ラグジュアリーな一面を備えることも。たとえば、荒れた路面を通過する際にタイヤがインパクトノイズを発することがある。だが、ゴツッではなくドスッという感じになる。それだけに、不快感を伴う突き上げではなく衝撃を抑え込んでいる印象になり、ノイズさえも演出したかのように思えてくるのだ。

AUDI A6 AVANT 55 TFSI QUATTRO LUXURY

【Specification】全長×全幅×全高=4940×1885×1465mm■ホイールベース=2925mm■車両重量=1930kg■エンジン種類/排気量=V6DOHC24V+ターボ/2994cc■最高出力=340ps(250kW)/5200-6400rpm■最大トルク=500Nm(51.0kg-m)/1370-4500rpm■トランスミッション=7速DCT■サスペンション(F:R)=Wウイッシュボーン:Wウイッシュボーン■ブレーキ(F:R)=Vディスク:Vディスク■タイヤサイズ(F:R)=225/55R18:225/55R18■車両本体価格(税込)=10,700,000円

A6 55 TFSIは、スポーティさやラグジュアリーであることばかりを強調せずアウディらしくソフィスティケート(洗練)された乗り味に仕上げられている。サスペンションは、同行のライバルよりも引き締まった設定となりボディの動きを最小限に抑える。ステアリング操作に対する応答性は、フロントがE200より130kgも重い1040kgを負担していることが信じられないほどダイレクト。それでいて、乗り心地という意味で硬さが気になることはなく快適そのものなのだ。

インテリアはクールでクリーンな仕立て
A6アバントには、走行状況に合わせて車両を最適化する可変ドライブアシストや4輪操舵システムを搭載。内装はブラックパネルを基調にしたクールでクリーンな仕立てだ。最新のMMIタッチレスポンスが標準装備となる。

直進性の感じさせ方もアウディ流であり、クワトロらしくステアリングがセンターでビシッと落ち着いているのかといえばそうでもない。むしろ、センターには微小な不感帯(遊び)がある。にもかかわらず、目視できるような路面のわだちに進路が影響されることがないあたりは見事であり、直進時の安定感の高さに結びつく。

3LのV型6気筒ターボは、48V電源を備えるマイルドハイブリッド。E200もそうだが、モーターは脇役に徹し出番に気づくことさえない。それでも、走りを支える名脇役であることは確か。高速道路では、多くの場面でエンジンが1500rpm以下を維持する。少しだけアクセルを踏み足して追い越し加速に入る場面の力強さの立ち上がりといったら、感心させられるほどスムーズなのに勢いが増してくる。メーターを見れば、7速から6速にダウンシフトされている。デュアルクラッチ式のSトロニックを搭載するためもあるが、モーターがアシストしつつ高精度で余計なトルク変動を抑制しているに違いない。

いかがだろうか、御三家それぞれにブランド本来の価値に付加価値を巧みに融合させている。そこに、アッパーミドルワゴンにふさわしい機能性をいささかの抜かりもなく上乗せしていた。

ラゲッジルーム

E200

ラゲッジスペースは640Lの容量を確保。40:20:40の分割可倒式リアシートを畳めば、ほぼフラットになり長尺物も積載可能。

540i

Eクラス同様に後席は利便性の高い40:20:40の分割可倒式。標準時は570L、最大で1700L。用途に応じて多彩なアレンジが可能。

A6

A6は3台の中では最も長い奥行きを確保するが、荷室の横幅が短いこともあって、荷室容量のカタログ値は565Lと3台中最小。

【PERSONAL CHOICE】BMW 540i xDrive TOURING M SPORT

走りの味わいが深くて濃い540i

試乗車の540iとA6 55 FTSIは減衰力を可変するサスを装備。その設定は540iがラグジャリーでA6はスポーティ。なのに魔法のように走りは正反対。ただ味わいはE200を含めて比べると540iが圧倒的に濃いのだ。

リポート:萩原秀輝/フォト:小林俊樹 ルボラン2021年2月号より転載

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