「VW TSIユニット」 直噴ツインチャージャーが導いた新しいパワーユニットの時代【VW GOLF FAN Vol.11】

実に不思議な加速感

注目のツインチャージャー・ユニットがもたらす走りは、排気量がたかだか1.4Lの直列4気筒とはとても思えないものだ。スペック自体、最高出力170ps/6000rpm、最大トルク24.5kg-m/1500〜4750rpmというもので、1.4Lのものではない。そのふるまいも、過給器を装着していることをまったく感じさせない、ごくごく自然なもの。VW自慢のDSGが組み合わされたことで、その走りにはシナジー効果のようなものが生まれている気がするぐらいだ。

顔立ちは、フロントバンパー下端からのラインがそのままボンネットに伸びる、R32やGTIと同じ造型。ただ、グリル回りに赤いラインやアルミ風のパネルは入らず、比較的シンプル。R32ではボディ同色、GTIではブラックとなるサイドシルのモールも省かれている。

発進でまどろっこしさを感じることはない。トルコン式オートマチックのようなクリープ現象のないDSGゆえに、どうしてもクラッチが繋がる瞬間のショックは感じてしまうが、エンジンが低回転域から太いトルクを出していることは確かで、そこからの加速にも不足を感じることはまったくない。そのままジワッとアクセルぺダルを踏んでいけば、オートマチックモードのDSGはそう回転を上げることなく次から次へとシフトアップを繰り返し、たちまちトップの6速に至る。そのトルクの豊かさは、街中であっても6速でのクルーズを許すから、こうした特性が燃費の向上に大きく貢献していることも間違いない。

シート関連でベースとなっているのは、コンフォート重視のGLi系だが、フロントシートのバックレスト部のサイドの張り出しはやや強くなっている。派手さがなく、存在を主張しない点がかえって好ましく映る。

フルスロットルでは、TSIならではという感覚を味わうことが
できる。そのレッドゾーンは2L FSIユニットの6500rpmにプラスすること500rpmの7000rpmからで、これはフリクションの少ない小排気量4気筒だからこそ。したがって、その回転上昇もきわめて軽やかなのだが、クルマがグイグイ前に押し出されるようなその力強さはまるでオーバー2LのNAユニットのよう。回転上昇の軽さと太いトルク感がシンクロしない、実に不思議な加速感となる。

ラゲッジスペースは、GLiと変わることなく、通常の状態で350L、バックレストを倒した状態で1305Lという容量になるのも変わらない。トランクスルー装備も変わらない。

低回転域ではスーパーチャージャー、高回転域ではターボチャージャーという組み合わせとなるTSIだが、その切り替わりがどのあたりで起こっているかは分からない。意識してそれを探ろうとしても、どこかでトルクの落ち込みや急激な盛り上がりが感じられるわけでもなく、ただただリニアな回転上昇を続けるだけだから、まったくもって分からないのだ。

マフラーのエンドを隠すGLi系とは異なり、GT TSIは走りを重視するダイナミックレンジの一員らしく、丸型2本のテールエンドをのぞかせる。

スーパーチャージャーが出しがちなシャーという音、ターボのヒューンという音も聞こえないから、そのうち、過給器付きであるということさえ忘れてしまう。要するに、オーバー2LのNA、いいかえればラクチンなエンジンという印象になってくる。

GT TSIは17インチのタイヤ&ホイールを標準装備とする。ホイールのデザインは、ボルトを隠すセンターキャップ・タイプで、7本のY字、つまり14本の細いスポークを持つエレガントかつスポーティなものだ。

VW GOLF FAN Vol.11から転載

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