【比較試乗】「アウディ A4 vs メルセデス・ベンツ Cクラス ]セダンで行くショートトリップのススメ。極上の乗り心地とともに芸術の秋を堪能

ここでは芸術編と題し、デザインに定評のある新型A4をピックア ップ。“芸術の秋”にコジつけて、芸術=モノづくり↓陶芸にチャレンジしてみた。熟成極まるCクラスセダンを旅のお供に軽井沢を目指し、紅葉を愛でながらショートトリップを堪能。さらに、もの作りの奥深さを知る貴重な体験をすることに……。

劇的な進化を遂げた新型A4の乗り心地

いわゆる“旅モノ”の原稿は、時系列で見たり触れたり感じたりしたことを綴り、その寄稿先が自動車メディアであればクルマと絡めたりなんかする。今回は「CとA4で軽井沢へ行って陶芸を体験してもらいます」と言われたので、「焼き物とクルマなんてどうやってこじつけんのよ」と頭を抱えていたのだけれど、予想外のハプニングに遭遇したのでまずはその件から。

Audi A4 45 TFSI quattro S line(左)、MERCEDES-BENZ C200 Laureus Edition(右)

もう何度も試乗している現行Cクラスに対して、マイナーチェンジを果たしたばかりのA4は初見だった。広報車を引き取りに行ったら駐車場に赤いFFの35TFSIが置いてあって、「これか」と覗き込んでいたら「そちらではなくこちらです」と案内されたのが青いクアトロの45TFSIのSラインだった。

Audi A4 45 TFSI quattro S line/新型A4は、すべてのモデルに12Vマイルドハイブリッドシステムを搭載。さらに、サスペンションの取り付け部分にアルミを採用し軽量化、さらにA6やA7にも採用されるAWDクラッチ付きクワトロを採用するなど、フルモデルチェンジに匹敵するほどの大幅な改良を実施している。

正直に言うと、この時「あちゃあ」と心の中で叫び、そして大きく落胆した。あくまでも個人的見解だが、これまでのA4のSラインの大径タイヤ&ホイールを履いた個体の乗り心地がどうしても自分の肌に合わなかったからだ。ばね下が重く終始バタバタしていて、運転していてなんだかちっとも落ち着かない記憶が蘇ったのである。「またあの乗り心地と対峙しながら軽井沢を往復するのか」と思ったら暗い影が目の前を覆い始めたのだけれど、走り出した途端にそれがスーッと晴れていった。

Audi A4 45 TFSI quattro S line

乗り心地がすこぶるいいのである。「なんだこれ??」と感嘆の言葉が思わず口を突いて出るほどだった。乗る前にチラッと確認したタイヤ&ホイールはやっぱりオプションの19インチで、”ダンピングコントロールスポーツサスペンション”と呼ばれる電子制御式ダンパーを含んだオプションも装備されていた。いい思い出のない過去の個体と同じようなセットである。それにもかかわらず、この乗り心地の劇的な変化はどういうことなのか。感覚的にはプラットフォームがひと世代進んだくらいの印象である。ただ、Sラインに乗るのもA4に乗るのも久しぶりだったし、FFにはまだ乗っていないので、これがクワトロのSラインだけに起きている事象なのか、あるいは年次改良を重ねてA4自体がジワジワとここまでよくなったのかがよく分からない。

Audi A4 45 TFSI quattro S line

困った時に助けてくれるのはいつも頼れる友人である。なべちゃん(渡辺敏史氏)と島ちゃん(島下泰久氏)にラインをしたら忙しいにも関わらずすぐに返事をくれた。曰く「アウディによると実験部隊が横串を通してモデルを開発していて、A6もすごく乗り心地がいい」「今回のマイナーチェンジの飛び幅はデカいと思う」「FFでもとろとろな乗り心地でよかった」など。

Audi A4 45 TFSI quattro S line

A4の乗り心地は、どうやら今回のマイナーチェンジで飛躍的な向上を遂げたと言ってもいいようだ。確かに乗り心地がいいのだけれど、その質というか種類がメルセデスとは異なる。Cクラスはばね上をゆっくりとした振幅で動かすことでゆったりとした乗り心地を形成している。A4は、Cクラスよりもばね上の動きが少ないものの、そもそも路面からの入力に対するショックがとても柔らかい。これはドライブモードを”ダイナミック”にしても大きく変わらなかった。ばねやダンパーやサスペンションジオメトリーなど部分的な改良やセッティングだけでここまで変貌するとはにわかに信じがたいが、上質な乗り心地であることは疑いようのない事実である。

Audi A4 45 TFSI quattro S line

現行のA4のパワートレインはすべてマイルドハイブリッド化されている。その仕組みはメルセデスのBSGと基本的に同じだが(アウディは「BAS」と呼ぶ) 、あちらが48Vであるのに対してアウディは12Vのリチウムイオンバッテリーを使ってい点が異なる。試乗車は1984ccの直列4気筒ターボを積み、249ps/370Nmを発生。そのパワーデリバリーはとてもスムーズで、BASは見事に黒子に徹していて扱いやすい。クワトロは従来のようにフルタイム4駆ではなく、前輪駆動がデフォルトであるものの、後輪への駆動力のトランスファーはそのタイミングや配分が完璧だった。
予想外のハプニングとは、要するにA4のジャンプアップ率の高さを指している。これほどまでの快適性を有しているのなら、Sラインでも19インチでも選んで後悔しないだろう。少なくとも軽井沢の往復では、イヤなところはひとつもなかった。むしろ、いい意味で期待を裏切る完成度だった。

フォト=郡 大二郎/D.Kori ルボラン2021年1月号より転載

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