【国内試乗】「ホンダe」ホンダが世界へ示したEVへの解

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2020/11/19 07:30

欧州メーカーのEVで見られる、航続距離の延長を追求する道をあえて選ばず、EVのメリットが生きる街乗りにフォーカスしたホンダ渾身の世界戦略車、「ホンダe」。ホンダ独自の哲学で生み出されたEVの完成度はいかに?

欧州メーカーとは一線を画すコンセプトと先進性

超大容量バッテリーを搭載して航続距離の長さをアピールするEVが幅を効かせてきているなかで、バッテリーは35.5kWh、航続距離は283kmと、やや寂しいホンダe。ただし、そこにはEVであっても、いや環境対応車のEVだからこそエネルギー効率に優れたモデルでなければならないというホンダなりの信念がある。

試乗車のアドバンスは17インチ、通常モデルは16インチを履く。

不思議なことに、エンジン車やハイブリッドカーではあれだけ騒がれてきた燃費という観念がEVになるとすっぽり抜け落ちて航続距離ばかりに注目が集まるが、超大容量バッテリーを搭載するモデルは車両重量2.5トン級で電費は230wh/km前後。対するホンダeは軽量コンパクトに仕上げているので131wh/km(アドバンスは138wh/km)と大きな差があり、どちらが本質的に環境負荷が低いかは一目瞭然だ。

航続距離の向上から、軽量・高剛性を追求した10本ストレートスポークを採用したオリジナルホイールを装着。

また、バッテリーは製造時のCO2排出量が多い。走行中のCO2排出量はエンジン車やハイブリッドカーに勝っていても、現在の平均的な電源構成では製造から廃棄まで含めた生涯排出量は、超大容量バッテリーのモデルでは環境負荷がかえって大きくなるという問題もある。欧州メーカーではできる限り電力供給を再生可能エネルギーに切り替え、不可避なCO2排出は相殺するという考えをEV普及と同時に推し進めていくことで包括的に環境負荷低減を図っていく狙いがあるが、ホンダは現実を見つめながらコツコツと積み上げていくという戦略なのだろう。

カメラで後方視界を捉える「サイドカメラミラーシステム」。

軽量コンパクトを是とすることもあって、ホンダeは街乗りがベストなシティコミューターというコンセプトで現れた。ホンダの4輪事業の礎を築いたN360をオマージュしたエクステリアはキュートで、街行く人の目を惹きつける。インテリアに目を移せば、インパネにずらりと並べられたワイドビジョン。現代的なガジェット好きの心にも刺さることで、新しいモビリティを印象付ける。

インパネ左右に配置した6インチモニターには夜昼天候を問わず高精細な画像を映し出す。

ソファのような肌合いのシートに腰掛けて街を走り始めると、そのしなやかでありながらフラットな乗り心地にまずは感銘を受けた。また、交差点を何気なく曲がるだけでもスイスイと思い通りに走れる感覚があって気持ちいい。EVだからそれなりの重さはあるが、低重心なこと、中央にバッテリーがあることでヨー慣性モーメントが低いことなど資質の高さに加えて、RRとして前後重量配分を50:50としながら左右も50:50にこだわり、サスペンション等も上級車並みを目指したという作り込みがいきている。

世界初となる5つのスクリーンを水平配置した先進的なインパネを装備。メインとなる2枚の12.3インチモニターは車両情報やエンターテイメントなど様々な用途で使われる。

モーター駆動だから走り出しから大トルクがあって頼もしく、アクセル操作に対する動きが期待通りでドライバビリティは良好。標準仕様は136ps、アドバンスは154psとパワーの違いはあるが、前者でも0〜60km/h程度までははっきりと速いといえるほどで十分以上。トルクよりもパワーがモノをいう80km/h以上になると後者の伸びが気持ちいい。

ワインディングでのハンドリングが、実はホンダeのハイライトのひとつでもある。前述の重量配分の良さ、RRだからできたステアリングギアボックスの前引きによるダイレクト感、立ち上がりで後ろ足で蹴り上げていく感覚などが相まって、この上ないドライビングプレジャーがあるからだ。モーター駆動なら制御によって曲がる力を司るトルクベクタリングなども緻密にできるが、ホンダeはあえてそれを使わず、本質の気持ち良さを追求したという。

価格がネックといわれるホンダeだが、魅力が圧倒すれば吹き飛ばすことができるだろう。デザインやコネクテッドなども大いなるアピールだが、EVだからこそ実現できるシャシー性能の高さはクルマ好きの心にも刺さるはずだ。

シートとドアの表面生地にはメランジ調のファブリックが採用され、リビングルームのような落ち着いた室内空間となっている。

後席はベンチシート仕様となる。

充電ポート位置は、様々な体格の方の使い勝手を考慮して、フロントフード中央に設置。また充電の開始と完了がひと目で確認できるよう、大型LEDライトも配置される。

フォト=市 健治/K.Ichi ルボラン2020年12月号より転載

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