先進安全装置を小型トラックで国内初搭載! 三菱ふそうが「新型キャンター」をワールドプレミア

2020/11/04 07:30

三菱ふそうトラック・バス株式会社は10月19日、10年ぶりにキャブデザインを一新した新型キャンターを発表しました。11月より順次販売が開始されます。
新型キャンターは、小型トラックで国内初となる先進安全装備“アクティブ・サイドガード・アシスト”とテレマティクス機能“トラックコネクト”が搭載されたことがトピック。
コロナ禍で急増している通販宅配需要ですが、アフターコロナでも変わらないのではと予想されています。ドライバーにかかる負荷は増し、落ち込んだ経済からの復活には長い時間がかかるので経営的に厳しい運送会社も多いはず。そんな世の中に向けて三菱ふそうトラック・バスが提案する小型トラックがこの新型キャンターです。

先進安全装置「アクティブ・サイドガード・アシスト」を小型トラックで国内初搭載

「アクティブ・サイドガード・アシスト」は、ドライバーの死角になりやすい車両左側をレーダーで監視することで対象物を感知し、警告を出す先進安全装置。走行中に車両左側の歩行者や車両をレーダーが感知し、左操舵または左折ウインカー操作をすると警報音とピラーに組み込まれたウォーニングランプでドライバーに警告、左折時の巻き込み事故やレーンチェンジ時の危険性を抑制します。現行キャンターにも搭載されている衝突被害軽減ブレーキ、車両安定性制御装置、車線逸脱警報装置と合わせて安全運転サポート機能が強化されました。
背後に大きな荷室を背負っているトラックは、目線が高いこともあり特に左側面の安全確認がしにくく常にリスクにさらされています。
左後方から横断歩道に向かって走ってくる歩行者や自転車、隙間をすり抜けようとする自転車やバイクなど、動きが速いこともあり一瞬の見落としが命取りになりかねません。目線移動でミラーを確認するだけでなく首を大きく振っての目視確認をしますがそれでも完全ではありません。この機能はリスクを最小化すると共にドライバーのストレスを軽減してくれることでしょう。

シャシー左に設置されているレーダーはバッテリーとスペアタイヤの間に配置されていて、レーダー下にあるのはバッテリーの充放電を司るEATON社製バッテリーイコライザー。エンジン関係の電装が12V系、その他が24V系のため2個の12Vバッテリーの充電状態を均等に保つために必要とのことでした。

テレマティクス機能「トラックコネクト」を搭載

稼働中の車両データを用いて車両を遠隔管理するこの「トラックコネクト」は、車両の位置情報や燃費、遠隔診断を通じた故障の検知などができます。問題発生時には、遠隔診断機能を通じてトラックから発信される車両の各種情報を24時間稼働のサポートセンターでモニタリングし、サービス提供の段取りや予後、予防メンテナンス等の必要なサポートを受けることも可能。契約初年度は利用料金無料です。

 

スイッチを押すだけでドアの施錠・解錠が可能な「FUSOイージーアクセスシステム」を全車標準装備

「FUSOイージーアクセスシステム」はキーをポケットの中などに入れたまま、ドアノブにあるスイッチを押すだけでドアの施錠・解錠ができるもの。もちろん車両付近からのリモコン操作も可能です。エンジン始動時にはステアリングコラムにあるエンジンスイッチを押して回すだけ。乗り降りや始動・停止を繰り返す作業の効率化が図られました。
ちなみにエンジンスタート・ストップが乗用車のようなプッシュ式ではないのは、機械的にハンドルロックする機能を兼ねているからとのことです。

キャブデザインを10年ぶりに一新し、力強いデザインの外観へ進化

今回はエアロクィーン、エアロエース、ローザに採用されている新デザインアイデンティティ「ふそうブラックベルト」が、新型キャンターにも採用されました。

LEDヘッドランプは標準で、LEDサイドターンランプは一部機種を除き標準装備、LEDフォグランプはオプションとなります。

発表会の会場にはヘリテイジモデルの展示も

発表会が開催された建屋前では社内有志によってレストアされた歴代のキャンターが来場者を出迎えてくれていました。T91A(1968年発売)、T210C(1973年発売)、FE114(1978年発売)の3台です。いずれはこれらのモデルを収めたミュージアムを作りたいとのことでした。

インドネシアが最大の輸出先と聞いて思い出したのは……

 

レストアされたキャンターとインドネシアと聞いて思いだしたのがこれです。2016年8月開催のインドネシア・モーターショーの三菱ふそうブースに展示されていたT210Cの現地版。細かい経緯は聞き漏らしましたが、東部ジャワのクディリという町で現役の“コルトディーゼル”をレストアしたもの。こんなにきれいになる車体が残っていたなんて奇跡的です。
三菱車はかの地では“コルト”ブランドで永年親しまれています。乗用車もミニキャブもデリカもみんなコルト。インドネシアの隅々にまで行き渡り、物資はピックアップのコルトで運ばれ、人々はミニバス化したコルトに乗って移動する。
しかし昨今の乗用車系の三菱ブランドはパジェロ・スポーツ以外売れるクルマがなく、もう消えたかのようになってしまっていました。ミラージュは2019年には1年で6台しか売れないという往時を知る私には涙しかない惨状。同じような状態の日産共々いつ完全消滅してもおかしくありません。しかし2018年発売の3列シート7人乗り小型SUVのXpander(エクスパンダー)がヒットし息を吹き返します。ようやく一息という感じ。販売台数ランキングでは長らく4位のスズキにかなり離された5位だったのに2019年には4位に浮上しました。輸出も好調のようで車名別生産台数では2019年に2位、2020年1~6月期では1位に躍り出ました。(台数情報は統計調査会社FOURIN社統計から)
一方小型トラックの方は“コルトディーゼル”として1975年の発売以来ずっと安定して売れ続け、2017年には100万台を達成。クラスシェアもトップの55%です。

余談の方が長くなり恐縮ですが、管総理大臣の最初の外遊先であるジョコ大統領の国での三菱ブランドの活躍をご紹介いたします。

 

キャビンを活かして後方にボディを架装する方法とキャビンレスシャシーにオリジナルボディを架装する方法がありますが、後者の場合だとどのシャシーかはわかりません。

カロセリという架装業者が何百とあるこの国ではデザインも無限大。見た目はコースターだが実はコルトディーゼルです。外装部品は中国のコピーメーカー製。左前にもドアがあるので本家より使いやすい? カロセリ大手のアディプトロ製のこのマイクロバスはデュトロのシャシーも選べます。

前ジャカルタ知事に嫌われて絶滅に追い込まれたメトロ・ミニ、コパジャもほぼ全車コルトディーゼルです。

道路上にはあそこにもここにもコルトやコルトディーゼルが活躍しています。構内移動車にも。

デュオニック2.0が楽しみ

今回の新型キャンターでは「デュオニック2.0」の搭載もトピックです。まだまだMT全盛の海外市場でもイージードライブの要望が年々高まっているそうなので、新型ではそちらの方にも順次投入していくとのこと。過酷な道路状況での使い勝手や耐久性にも注目したいですね。
2010年デビューの先代に初めて搭載された6速AMTデュオニックに試乗したことがある私としては、2.0に進化したデュオニックに興味があるので試乗のときが楽しみです。

(取材・写真・文:大田中秀一)

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