再び日本のレース界に復活しました!【レーシングドライバー木下隆之のS耐リポート富士24Hプレビュー編】

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2020/10/16 12:00

この2年間、戦いの場をアジア転戦型シリーズに移して活動してきたBMW Team Studieは、2020年、また新たなステージへ、スーパー耐久シリーズに復帰することにした。
2018年、2019年とアジアでシリーズチャンピオンを獲得、BMW M4 GT4の圧倒的な戦闘力とチーム力によって、数々の勝利を積み重ねてきた。そんな我々は日本に戻ることにした。いわば凱旋である。 
そこには、ドイツ本国BMW.A.Gからアシアで唯一公認されているチームとして、BMWプロジェクトを成功させたことでの新たなプロジェクトでもある。マレーシア、韓国、タイ、中国、そしてもちろん鈴鹿と富士を転戦してきた。そこで勝ち続けてきたことでの精神的な満足感と、そしてなによりも勝利への飢餓感を背負っての新たな挑戦である。
そう、とても贅沢なことに、数々の勝利を重ねすぎたことで、刺激が薄れた。ポディウムの頂点はもはや指定席となり、シャンパンファイトも常態化してしまっていた。日本シリーズ復帰は、戦う集団としての勝利への渇きである。
スーパー耐久シリーズを選んだことは自然の流れだった。我々の武器であるM4 GT4は、まだまだ圧倒的なポテンシャルを秘めていると自覚している。戦闘力の高いそんな現役マシンをガレージに飾って眺めるだけで満足できるチームではないのだ。首のリードを外して、大草原を自由に走らせてやることでM4GT4はイキイキとする。サラブレッドを解き放してあげたい。そんな愛情が我々にはある。
日本の、多くのBMWファンの熱いラブコールも参戦を促した。海を渡ってのアジア転戦ではなく、日本で戦うことは、勇姿を観ていただくことでもある。一人でも多くのBMWファンの目の前で走りたい。我々はそうも考えたのだ。
BMW Team Studieが走らせなければ、日本のサーキットでBMWの姿が消える。BMW公認サテライトチームとしての責任が、M4GT4を日本復帰した理由である。
ちなみにBMW Team Studieは2020年、スーパーGTにも復帰している。BMWを愛する多くのファンのために、M6GT3とM4GT4を投入しているのである。
さらに言えば、新しいスポンサーの参画も力になった。兵庫県に籍を置く二社が手を差し伸べてくれた。クルマ関係で絶大の信頼を持つ株式会社エスエスオートと株式会社Y’z0neが、自らのチームとして新たなステップを踏むことになった。チーム名は「SS/YZ RACING with Studie」。チーム体制は一新したのだ。もちろんBMW Team Studieが手厚くサポートする。
そんな流れを受けたこともあり、ドライバーラインナップも安定感を求めた。僕、木下隆之と砂子塾長のコンビは不動であり、新たな鈴木宏和が加わった。
我々が参戦するスーパー耐久「ST-Z」クラスは世界各メーカーが開発したGT4規定のマシンで戦われており、なおかつ3名のドライバーで戦うことと規定されている。さらには、過去の実績などから、ひとりの「ジェントルマン」と規定されるドライバーの起用が決められている。そんな規則に合致する最強のジェントルマンドライバーを発掘することに成功。我々が口説き落とした最強ドライバーが、鈴木宏和というわけだ。
のちに報告することになるが、彼はとてつもなく速い。ポルシェカレラカップ等で数々の勝利を刻んできている。速さだけでなく安定感も抜群である。僕と砂子塾長の助っ人という立場ではなく、エースとしてチームを牽引する立ち位置でもあるのだ。
ちなみに、開幕戦は「富士24時間耐久レース」となった。厄災の関係で開幕戦が夏にずれ込んだ。その余波を浴びたのがレーススケジュールであり、開幕戦にしていきなりの過酷な24時間となってしまった。例外的に24時間レースは、6名までドライバーの補充が許される。その規則に照らし合わせ、我々はなんと、荒聖治と・ジャン・パオロ・オリベイラという最強の助っ人として招聘することにしたのである。
ご存知の通り、荒聖治は日本人二人目のル・マン24時間総合ウイナーであり、スプリントから耐久レースまで豊富な実績を誇る。J・P・オリベイラの速さは折り紙付きであり、国内最高峰のスーパーフォーミュラやスーパーGT500で王者でもある。ライバルから「ずるい」と苦情が出るほどの贅沢な布陣で挑むことになったのである。
マシンはアジアを制したM4GT4であり、ドライバーはランキングを席巻した僕と砂子塾長であり、ポルシェカレラカップチャンピオンの鈴木宏和がAドライバーを務める。24時間には最強の荒聖治とJ・P・オリベイラを起用した。チームは「SS/YZ RACING with Studie」である。理考えられる理想的なチーム体制だと自負している。
そんな我々の戦いぶりを、これから連載形式で綴っていこうと思う。応援よろしくお願いします。

フォト=田村 弥 W.Tamura

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