【比較試乗】「ランドローバー・ディスカバリー vs ディスカバリースポーツ」ディスカバリーの進化と本質

AUTHOR
2020/09/29 12:00

1989年に初代がデビューして以来、一貫した姿勢を守り続けるディスカバリー。一方、昨今流行りのスポーツSUV界に一石を投じたディスカバリー スポーツ。同じ車名を名乗るとはいえ、対極のキャラクターが与えられた両車の本質とは? 特に2020年モデルのディスカバリー スポーツは驚異の進化を遂げている。

同じディスカバリーでも対極に位置する2台の個性

レンジローバーが50周年を迎えたのと同時に、ディフェンダーが刷新されたことが話題となっているようだが、ランドローバーにとっても、またSUVを語るうえでもディスカバリーの存在を忘れてはならない。言い換えれば、このディスカバリーこそ昨今のSUVブームの原点を生み出すきっかけとなったモデルで、レンジローバーが“オフロード界のロールス・ロイス”と表されたことに対し、ディスカバリーはそれをより身近にした、いわば廉価版として1989年にデビュー、世界一過酷なオフロードイベントのキャメルトロフィーで活躍したこともあって瞬く間に人気を博した。

LAND ROVER DISCOVERY

LANDROVER DISCOVERY HSE LUXURY/レンジローバーにも引けを取らないインテリアをもつディスカバリー。本革の質感や感触も高級感に溢れ、丁寧な作り込みが特徴。インフォテイメントシステムや運転支援システムの操作性も良く考えられ、その精度も極めて高い。3列7シートをすべてカバーするパノラミックルーフも用意され、ラゲッジスペースは最大で2500L(2シート時)、3列目を収納した場合でも986Lを誇る。上下に開口する電動テールゲートはハンズフリーで操作可能。

そのディスカバリーも今や5代目。30年以上の実績を積み重ねてきたことになるが、もっとも感心するのは、デビュー以来、驚くほど乗り味がブレていないことだ。その昔、初代ディスカバリーを1ヶ月以上に渡り普段の足として使った経験があったが、さすがに5代目にもなれば“今風”になっただろうと思ってあらためて乗ってみると、基本コンセプトはまったく同じだった。アクセルを急に開くこともなく、終始しっとりとした乗り心地で、価格帯をも超越した高級感あふれる走行性で魅了する。

LAND ROVER DISCOVERY HSE LUXURY

LANDROVER DISCOVERY HSE LUXURY

速くもなければ遅くもない、パフォーマンスばかりをウリにする今どき感とは無縁。これもレンジローバーとプラットフォームを共有しているからだろう。弟分とはいえ、インテリアの質感なども立派だから、日本で乗るならむしろレンジよりもディスカバリーのほうが扱いやすく感じるのは確かだ。

LANDROVER DISCOVERY SPORT R-DYNAMIC SE D180/2020年モデルから素材を見直し、耐久性も向上しているインテリア。3列7シートを備え、2列目は40:20:40の分割可倒式を採用することで、24通りのシートアレンジを可能とする。ラゲッジスペースは、さすがにディスカバリーには及ばないものの、最大で1574L(2シート時)、3列目を畳んだ状態でも780Lを確保。また、フロントグリルや前後バンパーのデザインも変更され、シグネチャーLEDヘッドライトも新たに採用している。

しかし、今回もっとも驚かされたのは、ディスカバリースポーツのほう。実のところ個人的には根っからのディスカバリーファンであることから、ディスカバリースポーツに対して期待はまったくしていなかった。理由は車名の通り、やたらと“スポーツ”をウリにするSUVが好ましくなかったからなのだが、ディスカバリースポーツだけは違う。特に2020年モデルからは、ヴェラールと共通のPTA(プレミアム・トランスバース・アーキテクチャー)を採用しているため、走りの次元が大幅に進化している。一見するとマイナーチェンジのように映るエクステリアだから誤解されてしまうが、これはもはや完全なる新型車だ。

LAND ROVER DISCOVERY SPORT R-DY NAMIC SE D180

LANDROVER DISCOVERY SPORT R-DYNAMIC SE D180

特にフロントシャシー周りの刷新は、絶大なる効果を発揮している。エンジン搭載位置は下げられ、剛性が高められたおかげで、とてもSUVとは思えないほど機敏かつ軽快。ステアリング・レスポンスも改善されたことで、峠道でもまるでスポーツカーばりのハンドリングと追従性で楽しませてくれたのは、想像を超えて驚異にも思えたくらいだ。今回の試乗車は180psを発する直列4気筒ディーゼルエンジンを搭載するRダイナミックSEだったが、まったくパワー不足を感じない。組み合わせる9速ATのギア比も見事で、430Nmを誇る最大トルクのうま味を見事に引き出している。もし、これが最上級グレードの直4ガソリンエンジン(P250:249ps/365Nm)だったらどうなるのだろうか……。想像するだけでも恐ろしくなるほど、その完成度には眼を見張るものがある。
これならスポーツと名乗るだけのことはある。決して“俄”などではない秀逸な1台だ。

フォト=小林邦寿/K.Kobayashi ルボラン2020年10月号より転載

「ル・ボランCARSMEET」 公式SNS
フォローして最新情報をゲット!