【試乗記】至極のグランドツアラーがもたらす官能と刺激「ベントレー・コンチネンタルGT V8」

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著しく進化を遂げた第三世代モデル

楽しみにしていた1台のステアリングをついに握ることができた。新型ベントレー・コンチネンタルGT V8である。
通算3世代目となる現行のコンチネンタルGTは、これまで以上に運動性能、動力性能が追求された存在だ。「MSB」と呼ばれる最新のプラットフォームを用いた車体は、フロントアクスルが前方に135㎜移動しており、つまりオーバーハングが大幅に切り詰められている。

走りを予感させるフォルムだが雰囲気は間違いなくエレガント。

おかげで、ボディサイズはさほど変わっていないのにプロポーションは激変したように見える。4つの大径タイヤが車体の四隅に置かれたロー&ワイドなフォルムは、ひと目見ただけで走りを予感させるのだ。
しかも、それでいて醸し出す雰囲気は間違いなくエレガントなのだから、ベントレーのデザインチームの仕事ぶりはまさに賞賛に値する。丸型4灯式のヘッドランプ、1950年代の“Rタイプ コンチネンタル”のそれにインスピレーションを得たというフェンダーの造形など、初代のディテールをうまく継承しながら確実に発展させたデザインは、完璧にコンチネンタルGTでありながら、完璧に新しい。

エクステリアの精悍さを引き立てるアイテムが充実。

モータースポーツのエンジニアリングチームによって開発された空力パーツを用意。ハイグロスの2×2ツイルカーボンファイバー製で熟練工がハンドメイド。エアロダイナミクスの改善とともに精悍なフォルムを際立たせる。

それに加えて試乗車は、精悍さを引き立てるオプションが多数装着されていた。「スタイリング・スペシフィケーション」は、CFRP製のフロントスプリッターとサイドシル、リアディフューザー、トランクリッドスポイラーのセット。空力性能の向上にも貢献するコレ、驚いたのはカーボンの織り目がクルマの中心線の左右でミラーマッチしていることだ。まさに内装のウッドパネルと同様の仕立てで、外観を精緻に彩っているのである。

ラジエターグリルをはじめ、ヘッドライト&リアコンビランプ・ベゼル、ロアドアとリアバンパーのブレード、エキゾーストエンド、ウインドーモールといった光沢パーツをハイグロスブラックに換装。大胆かつワイルドな印象に。(写真:郡 大二郎)

そして「ブラックライン・スペシフィケーション」。こちらは前後ライトのベゼルやドアハンドル、ウインドーモール等々、エクステリアのブライトウェアを黒基調で仕立てる人気オプションだ。

そのデザインは、スポーティで、妖艶で、精悍。

天然ウッドパネルで構成するフェイシアや最高品質なレザー・インテリアおよびスポーツシートは多彩な組み合わせから選択できる。

センターコンソールパネルのオプションに高級腕時計のムーブメント装飾をモチーフにした「コート・ド・ジュネーブ」を新たに採用。中央のクロックベゼルやエアコンのブルズアイベントに用意される「ダイヤモンドナーリング」加工を組み合わせれば、オーガニックでクラシックなイメージのインテリアに立体感と高級感をプラス。もちろん熟練職人によるハンドメイドとである。

ドライブトレインの進化で得られた新しい魅力とは?

90度バンクに内包した2基のターボで過給する排気量3996ccのV8直噴ユニットは、最高出力550psと最大トルク770Nmを発揮。新たに8速DCTとAWDを組み合わせ、0→100㎞/h加速4秒、最高速度318㎞/hを記録する。

スポーティで、妖艶で、精悍。そんなコンチネンタルGT V8のボディの、ロングノーズ下に搭載されるのがV型8気筒4.0リッター・ツインターボエンジンである。最高出力550ps、最大トルク770Nmというスペックは従来比43ps、110Nmの大幅増。実はこのエンジンは従来型のものとは別で、ベンテイガではじめて採用された新開発ユニットである。特徴はホットインサイドレイアウト。排気系を通常のVバンクの外側ではなく内側にまとめ、そこに2基のターボチャージャーを収めることで排気経路を短縮し、過給ラグを激減させるのが、そのメリットである。一方で、定速走行時などには8気筒のうち4気筒を停止させて、燃費向上に繋げる気筒休止機能も搭載されるなど、環境性能にもしっかり留意されているのだ。

さて、その走りはと言えば、率直にいって期待以上だった。V型8気筒4.0リッター・ツインターボエンジンはアクセル操作に対して、まさに弾けるようにレスポンスする。回転上昇はシャープで、しかもV8らしいビートも効いていて実に痛快。低速域でも十分過ぎるほどトルキーで街中を流しているだけでも気分がアガるし、それでいて回すにつれて力感が高まってくるから、可能な場面ではついつい右足に力が入ってしまう。
しかも新たに組み合わされた8速デュアルクラッチトランスミッションがシフトアップも、シフトダウンも小気味よくダイレクトに決めてくれる。もちろん単に気持ちいいだけでなく、実際に伝達効率が高いのもその美点だ。

ビートの効いたシャープな回転上昇は実に痛快。

エグゾーストノートもソソるポイント。野太いがしかし決して下品ではない密度の濃いサウンドは、走りの気分を盛り上げる。それでいて、巡航中にはまったく邪魔することがなく、くつろいだドライビングも楽しめるのだから嬉しくなる。
車両重量自体が軽いこともあり、動力性能に文句をつける余地はない。しかも、このレスポンスのよさである。この新しいV8ツインターボ・ユニットは、スポーツ性を格段に向上させたといっていい。
そしてこちらも大いに驚かせたのが軽快なフットワークである。直進時のスタビリティは高く、ぴたりと安定しているというのに、ひとたびステアリングを切り込めば、その瞬間からノーズが鋭くインを向きはじめる。特に左右に切り返すS字カーブのような場面での、ひらりと舞うようなフットワークは爽快そのもの。クルマとの一体感が、これまでになく高いのだ。
というのも、コンチネンタルGT V8のフルタイム4WDシステムは、通常時は駆動トルクをほぼ後輪だけに伝達して軽快なハンドリングを実現する一方、必要とあらば即座に前輪にもトルクを振り分け、安定性を確保する。それがW12より100㎏軽い車重と相まって、この走りに結実しているのである。

これを超えるグランドツアラーは存在しない。

従来のV8モデルも、走りの軽快感が大いに魅力だったことは変わらない。しかしながら、この3世代目コンチネンタルGT V8ではそのキャラクター分けがいっそう明確化された印象だ。それも持ち前の上質感やクルージング性能を損なうことなく達成している。
車名の通りの大陸間横断に臨むが如く、長距離を往くシーンに、これ以上のクルマはないだろう。走りに余裕があり、快適性が高く、ハイクオリティな仕立ての室内はこの上なくリラックスできる。しかもワインディングロードに差し掛かれば、本物のドライバーズカーとしてとことん楽しませてくれるのだから。
とりわけ自らステアリングを握り、アクセルを踏み込むことに歓びを感じるドライバーにとっては、このV8モデルが本命。そう断言してよさそうである。

【BENTLEY CONTINENTAL GT LINE UP】

Bentley Continental V8 V8 TSI+ツインターボ 3,996 ㏄ 最高出力 550ps/6,000rpm 最大トルク 770Nm/2,000~4,500rpm メーカー希望小売価格 ¥ 24,981,000(税込)

Bentley Continental GT CONVERTIBLE V8 V8 TSI+ツインターボ 3,996 ㏄ 最高出力 550ps/6,000rpm 最大トルク770Nm/2,000~4,500rpm メーカー希望小売価格 ¥ 27,368,000( 税込)

CONTINENTAL GT W12 TSI+ツインターボ 5,950 ㏄ 最高出力 635ps/6,000rpm 最大トルク 900Nm/1,350~4,500rpm
メーカー希望小売価格 ¥ 26,807,000( 税込)

CONTINENTAL GT CONVERTIBLE W12 TSI+ツインターボ 5,950 ㏄ 最高出力 635ps/6,000rpm 最大トルク900Nm/1,350~4,500rpm メーカー希望小売価格 ¥ 29,414,000( 税込)

■問い合わせ ベントレーモーターズジャパン https://www.bentleymotors.jp/

フォト=望月浩彦/H.Mochizuki

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島下泰久
AUTHOR
2020/09/25 18:00

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