【国内最速試乗動画&インプレッション】アウディ初の国内導入ピュアEV「アウディe-tronスポーツバック」は近未来感が満載!

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遂に日本上陸を果たしたアウディのピュアEV

世界的な自動車電動化の波の中、その流れのトップを走るメーカーのひとつとして挙げられるのがアウディだ。
「技術による先進」をフィロソフィーとして掲げ、常に時代をリードするクルマづくりをしてきたこのメーカーは、2025年までに20種類の全く二酸化炭素を排出しない電気自動車をラインナップする事を公言している。そんなアウディが、その先駆けとなる「e-tron スポーツバック」の国内導入を発表した。アウディとして最初の内燃機関を持たない完全な電気自動車をレポートしてみよう。

初めてこの車を走らせた瞬間に思い出したのは、以前ガラケーを愛用していた時代に初めてスマートフォンを触った時の、近未来の道具を手にしているような感覚だった。
まず実車を目の前にして目を引くのはドアミラー部分。しかしそこにミラーはなく、小さなカメラが備わっている。最近は他社でも採用が始まっているが、これはカメラにより左右後方の視界を確保する、バーチャルエクステリアミラーと呼ばれる装備だ。荒天時や夜間にも視界が確保できる画期的なシステムなのだが、正直慣れるまでは違和感があって、ふとした瞬間にどうしてもミラー部分に目線がいってしまい、そこにミラーが無いことにヒヤッとする。
しかし慣れてしまえば目線のすぐ下にあるOLEDの鮮明なディスプレイで左右の後方視界を容易に確認することができる。タッチディスプレイの感度は良好で、最新スマートフォンと遜色ないレスポンスで視界を瞬間的にコントロールできるので、慣れてしまえさえすれば非常に便利だろう。
インパネ周りの操作系も大部分にタッチパネル式ディスプレイが採用されており、無駄な凹凸が一切排除されている。シフトレバーの操作も独特で、最初はどこをどう動かしていいのか分からないというのもまた一興だ。

そして注目の走りでは、その乗り味こそ間違いなく往年のアウディらしさを感じるのだが、それが電気自動車の近未来的感覚と調和しているのが印象的。エンジンの振動が一切無い静寂な走行フィールと、フラットなインパネ周りの雰囲気の調和が取れていて、聴覚に感じる静粛性と視覚に感じさせる近未来的なイメージが見事に一致することに驚いた。
アクセル操作に対するレスポンスはエンジン車とは異次元で、アクセルペダルを踏み込んで走り出すというよりは、足の指先に力を入れると同時に加速が始まるかのような感覚。ただし、走り出してしまえば、スピードコントロールの感覚自体はエンジン車から乗り換えても違和感の無い味付けになっている。
ハンドリングも実にシームレス。これはアウディが元来持ち合わせている魅力だとは思うが、このステアリングフィールとモーターがもたらす新しい感覚の絶妙な相性が、このモデルの一番のウリだと感じた。

一通りの試乗を終えて、このe-tron スポーツバックを理解するためには、何よりも乗り手側の、”新しいモノを受け入れる思考の柔軟さ”が求められると感じた。それは「エンジンが無い」という部分だけでなく、随所に盛り込まれたデバイスがもたらす新しい感覚が、最初は”違和感”として受け止められるからだ。

とは言え、自動車の電動化の流れを歓迎できないと思う感覚も理解できる。
かくいう筆者も、V10エンジンが甲高いエキゾーストノートを奏でるF1に憧れて、10代の頃からモータースポーツの世界にどっぷりハマった一人だ。なにより、「エンジン」という言葉に比べて「モーター」と言う響きは、どうも非力なイメージを抱いてしまうのである。

しかし、e-tronに限った話ではないが、電気自動車に乗るとそのその思いが杞憂であったことに気づく。ある程度回転数を上げないとその最大パフォーマンスを発揮できないエンジンに対し、モーターはゼロ回転状態から瞬時に最大トルクを発生させることができる。0km/hからの発進の鋭さとそのレスポンスの良さは、エンジンでは絶対に到達できない領域と言っていい。
現にこのe-tron スポーツバックは664Nmの最大トルクを発生し、2560kgのボディを5.7秒で100km/hまで加速させることからも、充分なパワーを持ち合わせていることが理解できるはずだ。

おそらく近い将来、振動を感じながら音と排気ガスを撒き散らして走る事がナンセンスとされる時代がやってくるだろう。音も立てずに猛然と加速していく感覚が今はまだ受け入れられないとしても、そんな未来をこのe-tron スポーツバックを通して垣間見てみるのはいかがだろうか。

【specification】アウディe-tronスポーツバック
■車両本体価格(税込)=13,460,000円
■全長/全幅/全高=4900/1935/1615mm
■ホイールベース=2930mm
■トレッド(前/後)1650/1650mm
■車両重量=2560kg
■バッテリー種類=リチウムイオン
■バッテリー容量=95kWh
■モーター形式/種類=EAS-EAW/交流同期電動機
■モーター最高出力=408ps(300kg-m)
■モーター最大トルク=664Nm(67.7kg-m)
■サスペンション形式=前 ウイッシュボーン/エア 後 ウイッシュボーン/エア
■ブレーキ=前/後 Vディスク/Vディスク
■タイヤ(ホイール)=前 265/45R21 後 265/45R21
問い合わせ先=アウディジャパン https://www.audi.co.jp/

フォト=市 健治/K.Ichi

この記事を書いた人

山口礼

1983年生まれ。16歳よりモータースポーツ活動を開始し、英国でフォーミュラカーレースに参戦しながら本場のドライビング理論を学ぶ。帰国後は活動の幅を広げ、豊富な経験を活かして自動車ライターとしても活動を開始。そのドライビング技術を活かしてクルマの素性を引き出すリポートを得意としている。

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山口礼
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2020/09/17 14:00

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