日産アリア登場でEVの方向性は今後どうなる?【福田真人 チーフプロダクトスペシャリストインタビュー】

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2020年7月15日ワールドプレミアされ、続いて9月26日から開催される北京モーターショーで海外初披露されることとなった「日産アリア」。EVが普及している中国での評価がいかほどなのか気になるが、注目度はかなり高いはずであろう。そんな日産アリアに関して、前回はチーフビークルエンジニアの中嶋 光氏から話を伺ったが、インタビュー第2弾は商品企画の責任者である、商品企画本部 商品企画部 チーフプロダクトスペシャリストの福田真人氏だ。

――今回、アリアを開発するにあたり重視したことはなんでしょう?
【福田】我々がアリアの企画段階で意識したことは、単に新型のEVではなく、日産インテリジェントモビリティを体現するクルマを作るということです。インテリジェントドライブも電動化やプロパイロットの装備などだけでなく、ユーザーエクスペリエンスをテーマに、どう気持ちよく使ってもらうかということをスタートに考えて技術や装備を決めていきました。例えば家族や友人と出かけるとき、もちろんそれ自体は楽しいことですが、移動中ドライバーは運転に集中しなければならないのであまり楽しめないですよね。でもプロパイロット2.0を使えば、高速道路でドライバーもリラックスしてみんなの会話に入れます。今回のアリアではプロパイロット2.0が起動している最中に室内のイルミネーションも青く光ります。これによって一緒に乗っている人も、ドライバーが手放し運転していても安心できるでしょう。そんな風に乗員みんなが移動中の楽しみを共有できるのがコンセプトであり、ラウンジのような広いインテリア空間を作った理由なんです。

――インテリアといえば、アリアはコクピットまわりもかなり斬新なデザインですね。
【福田】運転中ってドライバーは上下の視線移動をしたくないもので、左右に見渡すというか視線が水平方向に移動できる方が見やすいんです。そういったHMIを突き詰めると横長のディスプレイが最適と考えました。しかもディスプレイは微妙に凹凸が付いていて、グラフィックのデザイン自体も最適になるようにしてあるんです。ちなみにヘッドアップディスプレイもこだわっていまして、フルカラーなのはもちろんのこと、ドライバーの目線から2.0m先で10.2インチのサイズ感で見えるようにしています、ウインドウの曲面があるので、ゆがみをなくすのは大変でしたが、長方形に正確に映るようにしているんですよ。

――EVの第1弾であるリーフはハッチバックタイプでしたが、アリアはクロスオーバーSUVですね。ということはターゲットユーザーも違いがあると思うのですが。
【福田】そうですね。アリアはSUVなのでより多くのユーザーがターゲットと考えています。リーフのユーザーはもちろんですが、EVの購入を考えている方もそうですし、輸入車等のプレミアムブランドに乗っている目が肥えた方にもアピールできると思います。SUVが欲しいユーザーにもユーティリティが高いですし、パフォーマンスを求めている方にも魅力的に映るはずです。日産車は乗って楽しいのも条件のひとつですが、2WDのほうは動力性能もいいですし、ハンドリングや乗り心地も高いレベルで仕上げています。EVですと皆さん皆さん航続距離を気にされるんですが、ユーザー的にはおおよそ500~800kmの距離を充電込みでどれくらい時間がかかるのが重要なんですね。アリアでは初期段階からその視点を織り込んでいまして、シミュレーション上では800kmを充電込みで8時間で走りきる性能を備えていますので、アクティブに移動される方でも問題ないでしょう。

――アリアでは新しい試みとしてアマゾンのアレクサを採用しています。この理由を教えていただけますか?
【福田】アレクサは多彩な機能を展開していますし、信頼性もあってお客様に不満なく使ってもらえるという理由で選びました。家からクルマへのコミュニケーションに加えて、クルマの中から家へのコミュニケーションが可能となっているのが特徴で、例えば家の電気やエアコン付けておいてもらえたりするのが便利だと思います。ちなみに車両自体に音声認識も装備しておりまして、こちらは「ハロー日産」と呼びかけてもらえれば起動して、車内のエアコンを操作したり天気を教えてくれたりします。

――アリアを発表したことで、日産では2車種目のEVをリリースしたことになりますが、今後EVの方向性をどのようになるとお考えでしょうか?
【福田】そうですね、今後はもう少しライトなものというか、違う車型といった展開はあり得ると思います。いずれにしてもEVが主流になってくる可能性は十分あるのではないでしょうか。今回アリアを開発するにあたって、EVのほうがパフォーマンスが高いクルマを作るのに有効だと思いました。バッテリーはまだ高価ですが、ランニングコストは明らかに安いですし。今後の夢としては、どんどんEVが広まってくると、例えば乗っていないクルマの電力をビルに供給するなどして、電力の平準化ができると思うんです。ですので、まずはクルマとしての魅力を最大化して、そのあとに活用するという方向性もありかと。まだ先の話ですが、無人運転ができるような時代になったときにも、燃料電池車は自動で充填してくれませんが、EVならばモビリティサービスで利用した場合にも、非接触充電で自動的に充電することが可能です。そういう意味でもEVが最適でありえるでしょうね。

――最後に気になる価格ですが、最上級モデルの90kW/4WDグレードでおいくらくらいになるのでしょうか?
【福田】現在ベースモデルが500万円とアナウンスしていますが、その倍になることはありません。目安としては4WDとバッテリー容量アップのグレードがほぼ同じ価格のアップ、そこから同じ価格を足すと最上級モデルという体系になるかと。でも90kWバッテリーの4WDモデルは私もイチ押しですよ。

――とはいえ自分で購入するとなるとなかなか高価ですね(笑)。でも輸入車のプレミアムEVほど高くないのでちょっと安心しましたが。今回はありがとうございました。試乗できるのを楽しみにしています。
【福田】ありがとうございました。今後ともアリアをよろしくお願いいたします。

フォト=望月浩彦/H.Mochizuki

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相澤隆之
AUTHOR
2020/09/09 18:00

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