【新世代ベントレーの肖像】「ベントレー・コンチネンタルGTコンバーチブル vs コンチネンタルGT」真のグランドツアラー

400km走ってわかったグランドツアラーの実力

シルバーレイクというブルーメタリックに彩られたエレガントなコンチネンタルGTコンバーチブルからアイスのボディカラーをもつコンチネンタルGTに乗り換える。こちらはウインドーモールなどをブラックアウトしたオプションの“ブラックラインスペック”が奢られた精悍なイメージの1台だ。

BENTLEY CONTINENTAL GT/まるで船艇のようにコクピット全体を取り囲むよう設定されたフェイシア(インスツルメンタルパネル)には、コンバーチブルの試乗車とは対照的に、全てハイグロス・カーボンファイバーを採用。

正直にいうとコンバーチブルに乗っている時は、ミシリともいわない盤石なシャシー、しっかりと路面を捉え乗り心地の良いサスペンション、そしてバランスの良いパッケージングから「クーペじゃなくても良いかも」と思っていた。
でもその想いは、良い意味で裏切られた。ボディの包まれ感、硬質感はクーペの方が圧倒的。走行モードをデフォルトの“ベントレーモード”に合わせてみると、コンフォートモード寄りだったコンバーチブルと違い、クーペはスポーツモード寄りのセットアップになっていて、すべての反応がクリアでシャープなのである。これまでそれぞれを試乗した経験はあるものの、同時に長距離で乗り比べるチャンスはなかっただけに、屋根のあるなしで、これほどまでに色付け、味わいの差が際立って感じられたのは意外な発見だった。

BENTLEY CONTINENTAL GT

特に明らかなのがそのコーナリングフォームだ。コンバーチブルが少しのロールを許して、たおやかに曲がっていくのに対し、クーペでは48Vの電動式アクティブロールコントロール、ベントレーダイナミックライドと3チャンバーのエアサスぺンションが真価を発揮し、路面に吸いつくように姿勢を変えず、軽やかに曲がっていく。コンバーチブルを“癒しのGT”とするならば、クーペは“攻めのGT”という表現がふさわしい。
でもそれでどちらかに優劣がつく話ではない。ハワイ産のKoaというウッドパネルとブルー&ホワイトのレザーを配した明るく華やかなコンバーチブルと、ホワイト&ブラックのレザーにカーボンパネルをあしらったスパルタンでありながら品性の漂うクーペのインテリアに象徴されるように、同じフォーマットを用いながらも、モデルやオーナーの嗜好に応じてキャラクターを変えられる“懐の深さ”こそが、コンチネンタルGTシリーズの凄さだからだ。

BENTLEY CONTINENTAL GT

約400kmの旅が終わり、ガレージでエンジンをストップした時、両者の平均燃費は、奇しくも同じ9km/L台を表示していた。その数字を見て、コンチネンタルGTが名ばかりのGTではなく、「あらゆる面で最上のドライバビリティを提供する」という歴代ベントレーのプリンシプルを受け継いだ、真のグランドツアラーであることを改めて確信できた。

フォト=岡村昌宏/M.Okamura(CROSSOVER) ルボラン2020年8月号より転載

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