ドイツ内のBMW Mモデル400台がミュンヘンに集結した「M Power Tour」リポート【池ノ内ミドリのジャーマン日記】

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新型コロナウイルスの感染拡大が始まった3月から、こちらドイツではかなり厳しいロックダウンの時期を経て少しずつですが規制が緩和されてきましたが、依然として大型イベントは禁止されており、モータースポーツの取材を主な生業としている私も必然的に仕事に行く機会が失われ、自宅警備員としてステイホーム生活が続いています。
そんな中、日頃愛車の整備や修理でお世話になっているBMWの正規直営ディーラーから『M Power Tour』と称されたMおよびMパフォーマンスモデルのオーナー向けのイベントのご招待状を頂きました。まずはディーラーに集合し、その後はみんなで連なって郊外のドライブインシアター会場までツーリングで行くというなにやらとても楽しそうなイベントではありませんか!人数制限があるとの事でしたので、おひとり様参加で早速申し込みました。

プログラムを見ると、平日木曜日の16時にディーラーに集合とあり、お勤めの方はなかなか来られない時間なのに一体何人が集まるのかな?と思っていましたが、予想を遥かに上回るMカーが続々とやって来るではありませんか!

日頃は展示車両が並ぶディーラーの正面玄関に愛車を停めた後は、みなさんが気さくに声を掛けてくださり、ドリンクや軽食を頂きながらの愛車談義に花が咲きます。残念ながら私の愛車はMパフォーマンスモデルで、ステキなMが並ぶ中では『なんちゃってM』はちょっと恥ずかしかったです。間もなく発表となる新M3とM4の事も話題に多く上がり、あの特大キドニーグリルにはYesとNo派にはっきり分かれました。

実はこの直営正規ディーラーは世界の全BMWディーラーの中の一番メインとなる総本家的な存在。M3オーナーのお上品なご夫妻は1985年のM3の誕生から現在に至るまで代々の愛車のM3を全てこの直営正規ディーラーでご購入。もちろんのこだわりは4シリンダーの本社ビル前のWerk 1(第一工場)で作られた、正真正銘のMade in MünchenのM3だそうですよ。
やがてディーラーの主催者の方のご挨拶と注意事項を伺った上で、いよいよイベント会場となるドイツ最古のドライブインシアターまでパレードランです。途中、少しの距離ですがアウトバーンにも乗り、みなさんと連なって抜きつ抜かれつ、楽しいショートドライブをしながら現地へ到着!既にゲート前には他のディーラーからの参加者のみなさんや、現地集合の方が既に長蛇の列を作ってゲートオープンを待っておられます。

入口ではチェックインをして参加のお土産セットとくじ引きの番号カード、映画鑑賞用にポップコーンとソフトドリンクの引き換えチケットを頂いて、係の方の指示に従って順番に並びます。一旦クルマから出ると、マスク着用と1.5m以上のソーシャルディスタンスを空ける事が必須となります。

イベントトークショーが始まるまでは、各自自由にM GmbHの展示車を見たり、参加者の方々の貴重な愛車をじっくり見る時間が設けられました。
三台並ぶM1を観ていたところ、DTMのシャツをお召しになったオジサマからお声掛けを頂きました。お話を伺ったところ、なんとM1が開発された当時のテストドライバーの方! 当時M1を駆り、テストコースや公道を果てしない距離を走り尽くされたそうですよ。いまはM5のオーナーさんとして息子さんたちと一緒にこのイベントにご参加されていました。BMWモータースポーツのTシャツを着た熱心なファンたちも多くお見掛けしました。MotoGPのセーフティカーをラッピングしたM6や、DTMのマルコ・ヴィットマンの優勝記念モデルのM4、新型M5コンペティション等、右も左もMだらけでめちゃくちゃテンションが上がります!

こんなに数多くのMカーがいるというのに、なぜかドレスアップやチューンナップしたのは皆無。ドイツは車検が厳しいというのもありますが、オーナーさんたちにお話を伺うと、新車オーダーの際にインディヴィジュアルのオーダーを入れたり、Mパフォーマンスパーツを組み合わせたりと自分仕様に作り上げていくのが楽しみのひとつなのだそうです。直6派とV8派に分かれて熱心にエンジン談義をしている方や、限定塗装や仕様についても楽しいお話が伺え、熱狂的なオーナーさんたちのこだわりにはビックリしました。

会場には今季発売のM2 CSレーシングのお披露目もありました。現在、ニュルブルクリンク耐久シリーズに参戦するM240i レーシングカップが今シーズンで終了するにあたり、来季からはこのM2 CSレーシングカップクラスが誕生しますが、今期中にデリバリーをされたチームは、ニュル耐久シリーズへシーズン途中からの参戦も可能との事です。

ロールケージや足回りがニュル用に強化され、車内は軽量化されているものの、エンジンをはじめほぼ全てが量販車のM2 CSのままです。1972年のM の誕生以来、M=モータースポーツは常にスポーティな走りと、卓越したドライブフィーリングはスポーツカーの代名詞的な存在ですね。これから趣味でレースを始めようと思っておられる方や、若手の育成プログラムとしても手の届く価格のレーシングカーですね(95,000€+各国の消費税)。

こちらドイツ ミュンヘンの緯度は北海道の札幌と同じで、姉妹都市でもあります。夏時間の期間は22時近くまで夜は明るいのです。従って、ドライブインシアターの上映時間もかなり遅くから開始となりますので、映画上映前のステージではBMWモータースポーツのワークスドライバーのマルコ・ヴィットマンやマルティン・トムチック選手のトークショーや、BMWのドライビングエキスペリエンスのドリフト参加チケットが当たるくじ引き大会等も行われました。残念ながら私はハズレ。
イベント広場も三密を避けるために、特設ステージ前には集合せず、各自愛車付近や遠く離れて見る事に。トークショーが終わるとMCの方の合図とともに、参加車全てが一斉にエンジンを30秒とどろかせるという、このゆえない至福&迷惑な楽しい時間も設けられました。この日、集まったのは、ミュンヘンとその近郊市町村のディーラーのMおよび、Mパフォーマンスカーが、なんと400台以上!郊外のドライブインシアターの敷地とはいえ、かなり遠くの住宅地にも煩かったに違いありません(苦笑)。

徐々に太陽が沈みはじめ、真っ赤な夕焼けがキレイだな~とみなさんが空を見上げていた頃・・・突如、物凄く静かに目の前を見覚えのある模様のクルマが⁉ えーーーーーっ⁉
スマホとカメラを手に取るも時遅し。しかし、やっぱりコレだったとは!!! さすが、BMW M GmbH、こんなに大勢のMオーナーが集まるイベントに、めちゃくちゃニクい演出をしてくださるではありませんか!新M3とM4がみなさんの周りを走り抜けて、一瞬でいなくなって騒然としましたが、この日のシークレットサプライズだったようです。次のMは静かだと噂で聞いていましたが、こんなにも静かだとは思いませんでした。

私はBMWの4シリンダーの本社や研究所の近くに住んでいますので、このカモフラージュのテスト車両は日常でとても見慣れているにも関わらず、やっぱり何回見てもテンションが上がります!ディーラーで集まった時にも、もしかしたらイベントで新M3やM4が観られるかな?とみなさんご期待されていました。

カモフラージュのM3とM4を見た後のコーフン冷め止まぬままに、BMWモータースポーツのドキュメンタリーヒストリー映画『Adrenalin』の上映が始まりました。私は既にもう何度も繰り返し観ている映画なのですが、毎回鳥肌が立ちます。日本でもAmazonなどで日本語字幕版が販売されていますので、是非みなさんもご覧になってくださいね。
ところで、日本でも映画館では本編上映前にかなりの長い広告映像が流れますよね?この日は、なんとその広告映像も全てBMWでした。

ドライブインシアターにも今回生まれて初めて行きましたが、こんなに快適だとは思っておらず、今まで来なかった事を後悔しました。日本でもコロナの影響でドライブインシアターの人気が復活しているというのが、よく分かりました。他の方に気を遣わず、愛車の中でリラックスしながら大画面での映画鑑賞は是非おススメしたいですね。スポーツカーをご所有の方にはご理解頂けると思うのですが、シートがあまりリクライニングしないのが難点でしたが、車内に積んでいたクッションのお陰で腰痛にもならずに済みました。
ディーラーを出発する際には、バナナとリンゴ、シリアルバーとソフトドリンクが入った遠足のおやつセットが入った紙袋を一人ずつに頂きました。ちょっとしたお心遣いが嬉しいですね。会場ではおいしそうなフライドポテトや焼きソーセージ、バーガー等の販売もあり、とても良い匂いが漂っていましたが、あまりの長蛇の列で映画に間に合わなそうで今回は諦めました。
楽しいひと時はアッという間に過ぎ去りますね。映画のエンドロールと共に、みなさんで拍手の代わりにクラクションを一斉に鳴らしておひらきとなりました。ミュンヘン市内へ向かう帰り道も、なんとなくMカーのみなさんが自然と連なってとても良い雰囲気で帰る事ができたのも楽しかったです。またこんなイベントにお誘い頂ける機会があれば、ぜひ参加してみたいと思います。今回の参加費は、なんと無料!コロナ禍で行政機関の規制が厳しく、事前の準備は相当なものだったと想像ができます。あらためて、Niederlassung(直営ディーラー)やM GmbHのみなさまのご尽力に大感謝です。

この記事を書いた人

池ノ内 ミドリ

武蔵野音楽大学および、オーストリア国立モーツアルテウム音楽院卒業。フリーランスの演奏家を経て、ドイツ国立ミュンヘン大学へ入学。ミュンヘン大学時代にしていた広告代理店でのアルバイトがきっかけでモータースポーツの世界と出会い、異色の転身へ。DTM、ル・マン/スパ/ニュルブルクリンクの欧州三大24hレースを中心に取材・執筆・撮影を行う。趣味は愛車のオープンカーでヨーロッパのアルプスの峠をひたすら走りまくる事。蚤の市散策。

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