【国内試乗】「プジョー・リフター」待望のMPVはデザインと機能性を巧みにバランス

PEUGEOT RIFTER DEBUT EDITION
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2020/07/15 08:00

遊びの幅を大きく広げるゆとりのラゲッジスペース、開口部が広くて乗り降りしやすく使い勝手の良いスライドドア。そして、プジョー流に磨き上げられたドライビングプレジャー。価格面でもかなり魅力的な選択肢となるリフターの実力とは?

若い世代に向けたアクティブバン

パンが好きだと言ってもヤマザキのWソフトをパンだと思っている人に、ゴリゴリのフランスパンを食べさせたら「硬い!」と言うだろう。肉が好きだと言ってもたっぷりサシの入った和牛が最高だと思う人は、赤身肉の歯ごたえにはじめは違和感を感じるはずだ。

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PSAグループの新世代プラットフォームEMP2がベース。アクティブセーフティブレーキやレーンキープアシストなど先進のドライビングパフォーマンス機能も充実している。

プジョー・リフターに乗って、自然とそんなことを思った。ガラパゴス化された日本で先鋭化されたミニバン。そのいたれり尽くせりに甘やかされた我々にとってリフターは、いわゆるミニバンらしくない。もっともプジョーはリフターを「ミニバンとSUVとワゴンのクロスオーバー」と述べている。商用バンをベースとしながらエッジの効いたデザインを与え、アクティブMPVの魅力を全面に押し出しているからいいのだが。

PEUGEOT RIFTER DEBUT EDITIONそんなリフターの乗り味は、よく言えば見た目に相応しい、ちょっと硬めの仕上がり。具体的にはタウンスピード領域だと垂直方向のピッチングが起こりやすく、路面の悪い道には弱い。

PEUGEOT RIFTER DEBUT EDITIONただこれが速度を乗せるほどに、フラットライドへと移行して行くあたりはプジョーらしさを感じる。このボディに小径ステアリングを備えるi-コクピットは操作系における一番の違和感だが、その実操舵応答性はリニアで、慣れてしまえば小型ハッチを運転しているかのよう。つまり運転感覚においてもリフターは、若い世代に向けたアクティブバンだと理解できる。

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リアシートは3座独立式を採用し、大人5人がくつろげるゆとりの空間を提供。

ホイールアーチの隙間が大きい割にアシが硬いのは、人と荷物をテンコ盛りしたときに走安性の的を絞っているからだろう。走るほどにアシはこなれるだろうし、そう考えると使い倒すほどにその愛着も増して行くような気がする。

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室内にはルーフの大半をガラスとするパノラミックルーフに収納スペースを融合させたマルチパノラミックルーフを用意する。

そんな若さと実用性をキャラとするアクティブバンのエンジンとして、130ps/300Nmの1.5L直列4気筒ディーゼルターボは本当にベストマッチである。出足こそラフに踏み込むと過給圧が唐突に掛かるけれど、それを右足で合わせ込みながら速度を乗せて行けば、実に静かに、グーッと粘るトルクでこのボディを転がして行く。高速巡航時ではガソリンエンジンのようにキリッと吹け上がり、追い越し加速も気持ちいい。8速ATの制御も良好で、加速にメリハリ感がある。このあたりはマツダもそろそろ追従して欲しいと感じる。ちなみに駆動方式はSUV系と同様FWDのみの割り切りで、積雪時や悪路走破時の駆動力はアドバンスドグリップコントロールで稼ぐ。

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リアシート頭上後方には容量約60Lのリアシーリングボックスを配置。後席およびリアゲート側の両方からアクセス可能。

プラスチック然としたインテリアの耐久性は気になるが、デザインは大人びていて収納スペースも多い。グラスルーフの開放感を削ぎ、掃除も大変そうなルーフトレイはやり過ぎな気もするが、助手席エアバッグをルーフに移設してグローブボックスをインストールしたり、リアにストレージボックスを設けたりと工夫が多く楽しい。

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巨大なリアゲートはガラスハッチのみを個別に開閉することが可能。

リアシートが直立気味だがその分5名乗車時で597L、2列目シートを倒せば2126Lと、5008(1862L)よりも広い荷室容量を獲得。唯一残念なのはスライドドアが手動なことで、ここは子供の乗り降りを心配する親のためにも改善して欲しい。

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荷室容量は597〜2126Lを確保する。

総じて国産ミニバンのような行き過ぎた配慮はないが、その無骨さに道具としての良さを見いだせれば、リフターはその魅力を存分に発揮してくれそうだ。赤身肉は、噛めば噛むほど味が出る。

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最新世代の130ps/300Nmを発生する1.5L直列4気筒クリーンディーゼルエンジンを搭載。エンジン特性を引き出す最新世代の8速ATと組み合わせられる。

フォト=郡 大二郎/D.Kori ル・ボラン2020年8月号より転載
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