【国内試乗】「メルセデス・ベンツGLS」あらゆるゆとりがフラッグシップ!

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3世代目となる新型GLSは内外装デザインを一新し、最新技術と装備を搭載。室内スペースの拡大によるゆとりのある空間設計や、日本初導入となる48V電気システムを動力に使用したアクティブサスペンション「E-ACTIVE BODY CONTROL(400dはオプション設定)」など、さらなるラグジャリーを追求したモデルへと変貌した。

この巨体にしてスムーズな走り!

メルセデスいち巨大なSUVであるGLSが3世代目となった。初見では思った以上にその大きさを感じなかったのは、出会いが郊外の広々としたワインディングの駐車場だったからか。実際その全長は5220mm(AMGライン装着車)と異様に長いのだが威圧感は小さい。デザイン的にはグリルやキャラクターラインにエッジを効かせつつ、全体的には滑らかなシェイプがメルセデスとしての上品さを上手に保っている。

GLSはメルセデス・ベンツのSUVを表す「GL」に車格を表す「S」が付くその名の通り、上質で高いプレステージ性を持つメルセデス・ベンツの最上級SUVとして位置付けられる。

走り出しての印象は、見事のひと言だ。緩慢に走らせているだけだと巨大なボディのイナーシャや広大なグラストップによる重心の高さが、エアサスの緩やかな振幅に同調しきれない場面もある。Sクラス相当のSUVとイメージすると、やはりセダンの優雅さには及ばないと思われるのだが、速度域が上がって行くほどに走りはマッチングが取れてくるのだ。

センターコンソールにはSUV特有の装備としてグラブハンドルを左右に設置。2列目シート上部まで広がるパノラミックサンルーフなど、居住性を高める装備も充実している。

特に素晴らしいのはEPSとサスペンションの統一感で、ねっとりとした操舵感とダンパーの沈み込み方が見事に連動している。悪路も想定するロングストロークな足まわりは、路面の起伏に対してバネ下のタイヤを巧みに動かす。驚くべきはこのときコーナリングフォームがピタリと収まっていることである。速度が上がるとバウンス量は増えて行くが、スポーツモードで減衰力を高めると、乗り心地を損なわないまま、ピッチングを納めることができる。

4WDながらもそのハンドリングは、お手本のような弱アンダーステア。これ以上の応答性を望むなら「E-BODY CONTROL」を付けるべきなのだろうが(なんでもコーナーに対してバイクのようにボディを内側へ3段階でリーンさせるらしい!) 、現状でも十分にこの巨漢を抑え込み実直な操作性を得ていると感じた。

先代比でホイールベースが60mm拡張され、居住性が向上。 2列目シートには電動シートバックによる前後スライド機能が採用され、最も後方にスライドさせることでレッグルームは87mmまで拡大する。

注目の3L直噴ディーゼル「OM656」は、可変ジオメトリータービンが極低速域から自在に700Nmの最大トルクを捻り出す。この特性によって普段は極めて静かで、ピックアップに優れた運転が可能となる。またアクセルを踏み抜けば、遠鳴りにだがストレート6の鼓動が響き、その安定した乗り味に速さと彩りを加える。ただS400dでは文句のつけようがなかったその動力性能は、2590kgのウェイトに幾分かその余力を奪われてしまったようだ。感覚的にはあと1Lくらい排気量を増やして欲しいと感じたが、初のISGを搭載する4L V8ツインターボ「M176」を上位機種として用意するのは、まさにそういうことなのだろう。

3L直6ディーゼルエンジン「OM656」を搭載。 2ステージターボチャージャーを使用し、小さいタービンにはさらに可変タービンジオメトリーを採用し、低回転域から高回転域まで全域でトルクフルな加速が可能。

巨大なボディが可能とした3列目シートはクッションが薄く、姿勢も直立気味。後から2列目シートをパワースライドできる機構には笑えたが、子供たちにはミニバンの方が喜ばれるかもしれない。しかしこれを使わなければ2列目シートには最大で87mmのレッグクリアランスを取ることができ、 「ショーファーパッケージ」でリラクゼーション機能を効かせれば、ちょっとした王様気分のロングトリップを楽しめるだろう。

3列目シート使用時のラゲッジルーム容量は470L、2、3列目シートを倒すと最大2400Lまで拡張。また、トランクスルーで積み込める横幅が72mmまで拡大された。

ラゲッジ容量は3列目シート使用時でも470Lを確保し、2/3列目シートを全て倒せば2400Lのキャパシティが手に入る。

SUVでもSクラスのような威厳と熟成が欲しい。そう考えるならGLSの乗り味はまだまだ若いと言わざるを得ない。だが裏を返せばその若さこそがSUVの本質だと言えるだろう。またこの内容にして1263万円というプライスも魅力的である。問題があるとすれば主戦場である北米ならまだしも、このサイズを飲み込むガレージを持つ日本の富裕層に、このカジュアルさが受け入れられるかどうか。それも含めてX7やQ7、レンジやさらにハイエンドなライバルたちとの比較試乗が楽しみだ。

フォト=安井宏充H.Yasui(Weekend.) ルボラン2020年7月号より転載

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2020/06/14 09:00

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