クルマが与えてくれる普遍的な魅力や歓びは、昨今主流のSUVよりもセダンの方に一日の長がある。実際に快適性や走行性を売りにするブランドは、セダンへの投資を緩めることはない。今回の3台も各々の個性を放ちながら、根源的なクルマの楽しさを示してくれた。
FF系セダンは走りもデザインも大いに進化
ミドルクラスのセダンが“クルマの基本”だと言われた時代が去って久しい。けれどもそれはユーザー嗜好の変化とクルマ造りの進化によるもので、物理=ダイナミックパフォーマンスでのみクルマを語るのであれば、未だセダンはクルマの基本であるように思う。
その証拠にドライビングパフォーマンスを重要視する欧州市場のメジャーブランドは、SUVが花盛りという現代においてなお、良質なセダンやエステートを造り続けている。マーケティングの影響を絶えず受け続けた結果、クルマ造りの軸が揺れる日米メーカーとのスタンスの違いは明らかだ。
様々なサイズのセダンが今も生産されているが、基本形を定めるとすればそれはいわゆる欧州Dセグメントとなるだろう。FR系モデルでいえばメルセデス・ベンツCクラスやBMW3シリーズがその代表格である。
ひと昔前までダイナミックパフォーマンスはもとより3ボックススタイルの見せ方においてさえFR系の優位は動かなかった。FF系では前輪の位置にどうしても制約が生じていたからだ。けれども最近ではFF系モデルも大いに進化し、走りはもちろん、スタイリングにおいてもFR系に優るとも劣らないモデルが増えてきた。さしずめボルボS60はその最右翼だと言っていい。
そもそも最新ボルボは大中小のSUVシリーズで復活人気を獲得したわけだが、実はセダン系のニュースタイリングこそ“衝撃的”だったと個人的には思っている。モーターショーでS90の現物を初めて見たときの感動は忘れられない。奇をてらわず美しくユニークに3ボックスセダンをまとめるデザイン手法がまだあったのか、と感心したものだった。
S90はある程度ボリュームもあるためデザインの自由度も高い。
だからひとクラス下のDセグメントとなる新型S60が、S90と変わらぬ格好良さで現れたことに再び大きな衝撃を受けた。FF車特有の車体とタイヤ位置とのバランスの悪さがない。フロントオーバーハングが長くないのだ。
ことデザインでユニークさのみを狙うのではなく、調和をシンプルに表現した結果ユニークである、という事実こそスカンジナビアデザインならではというものだろう。
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