アストンマーティン伝統のモデル、「ヴァンテージ」が70周年

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1950年のDB2ヴァンテージ仕様から70年で累計3万6000台以上を製造

アストンマーティンはこのほど、同社の主力モデル「ヴァンテージ」シリーズが、1950年に誕生したDB2ヴァンテージから今年で70周年を迎えることを発表した。

アストンマーティン史上もっとも成功を収めた「ヴァンテージ」。このシリーズは同社がこれまで製造してきたスポーツカーのうち、実に1/3以上を占めており、アストンマーティンの歴史に重量な役割を果たしている。

初代となるDB2ヴァンテージから’60年代のアイコンモデル「DB4」、「DB5」、「DB6」は、その後の数十年間でアストンマーティンの名を世界に知らしめたハイパフォーマンスモデルへと進化。画期的なVH(バーティカル・ホリゾンタル)アーキテクチャーを採用したモデルから、最先端テクノロジーを搭載する現行モデルに至るまで、ヴァンテージというモデルはスピード、パワー、そして類まれなスタイルの代名詞となっている。

アストンマーティン・ラゴンダ社のアンディ・パーマー社長兼CEOは、アストンマーティン・ブランドの栄光の歴史を語るうえで欠かすことのできないヴァンテージの魅力について、次のように述べている。
「最新モデルのヴァンテージおよびヴァンテージAMRは、世界中のドライバーに強烈なインパクトを与えた“ヴァンテージ”というモデルを、弊社の流儀に従って新たに解釈したものです。2020年、私たちはヴァンテージの70周年を祝い、傑出したスポーツカーの伝統を振り返ります。ヴァンテージは、常に技術的な野心、スリリングなパフォーマンス、類まれな美しさと同義語となってきました。この名称が与えられた伝説的なクルマが作り上げてきた高い基準は、最新のモデルにもそのまま反映されています」

ここからは、70年を紡いできたヴァンテージの歴代モデルを振り返ってみよう。

「DB2“ヴァンテージ”仕様」
1950年の「DB2」では“ヴァンテージ仕様”という高性能版として登場。当時ヴァンテージとは、高性能モデルに添えられるネーミングだった。2.6Lエンジンに大型キャブレターを組み合わせるパワーユニットは、標準のDB2用ユニットの約105bhp(約106ps)から125bhp(約127ps)にパワーアップ。ボディはクーペとオープンの2タイプが設定され、合計製造台数は250台に満たなかった。

「DB4ヴァンテージ」
1961年に発表されたDB4シリーズⅣの生産開始と合わせてデビューしたのが「DB4ヴァンテージ」。SU HD8キャブレターを2基から3基に増やし、大径バルブを採用したシリンダーヘッドと、より高い圧縮比を実現した直列6気筒の“スペシャルシリーズ”エンジンを搭載。最高出力は266bhp(約270ps)をマークした。このスペックはベース車DB4の240bhp(約243ps)から約10%も強化されている。

「DB5ヴァンテージ」
1964年のDB5発表に合わせて登場したDB5ヴァンテージは、ウェーバー製のトリプルキャブレターを採用した4L直列6気筒エンジンは標準モデルより40bhp(約41ps)強力な325bhp(約330ps)を発生した。DB5のヴァンテージは生産台数が少なく、クーペモデルは887台のうち68台、コンバーチブルは123台のうち8台と、現在においてもオリジナル車の希少性は高い。その後、後継モデルとして同じエンジンを積む「DB6ヴァンテージ」が登場。こちらはさらに生産台数が少なく、希少性は極めて高い。

「DBSヴァンテージ」&「AMヴァンテージ」
ベース車となるDBSは1967年に登場。これまでのDB4、DB5、そしてDB6にいたる一連の流れがアストンマーティンのデザインの進化を物語るとすれば、このDBSはデザインに革命を起こしたモデルといえる。角張ったモダンなスタイリングを生み出したのは、当時アストンマーティンに若手のインテリアデザイナーとして在籍していたウィリアム・タウンズだった。エンジンは開発当初、新開発のV型8気筒を採用する予定だったが間に合わず、結局DB6と同じ4L直列6気筒が搭載された。1972年には、それまでの4灯式から2灯式のヘッドライトを採用した新バージョンのDBSが登場。このモデルには「AMヴァンテージ」と名付けられ、70台製造された。

「V8ヴァンテージ」
1977年に発表されたV8ヴァンテージの初代モデルは、これまでのヴァンテージ・モデルとはまったく異なるエンジニアリングを採用し、搭載されたV型8気筒エンジンは380bhp(約385ps)を発揮。アストンマーティン製スポーツカーの新たな時代を告げるものとして誕生した。“英国初のスーパーカー”と賞賛され、0-96マイル(約97km/h)加速タイムはフェラーリ・デイトナを凌駕し、最高速度は170マイル(約274km/h)に達した。ある自動車雑誌のテストによれば、デザインは保守的だったが、ランボルギーニ・カウンタックやフェラーリ512BB、ポルシェ911ターボといった同時代のライバル上回る性能を見せたという。

「ヴァンテージ(スーパーチャージド・ヴァンテージ)」
1990年代のアストンマーティンは、引き続き“スーツを着た野獣”と評されるスポーツカーを製造することに情熱を傾けていた。その結果生み出されたのがヴィラージュをベースとした1993年のヴァンテージだ。このモデルは“スーパーチャージド・ヴァンテージ”の異名を持ち、次世代のV8ヴァンテージへとバトンを繋ぐことになる。エンジンは5.3LのV型8気筒で、イートン製スーパーチャージャーを組み合わせることによって、550bhp/550フィートポンド(約558ps/746Nm)を発揮。当時の市販モデルとしては世界最高スペックを誇った。1998年後半にデビューした「V600」バージョンでは、最高出力がさらに50bhp(約51ps)上乗せされ、車名の通り600b hp(約608ps)を実現。4.6秒の0-60マイル加速、186マイル(約300km/h)の最高速をマーク。高速走行テストでは、200マイル(約322km/h)に迫るトップスピードが記録されたと噂された。

「DB7 V12ヴァンテージ」
1999年のジュネーブ・モーターショーでデビューしたDB7 V12ヴァンテージは、世界的なデザイナーであるイアン・カラムによってデザインを一新。フォード・リサーチ&ビークル・テクノロジー・グループとコスワース・テクノロジー社との緊密な協力体制により、オールアルミ製の5.9L V型12気筒エンジンを搭載。420bhp/400フィートポンド(約426ps/542Nm)を発揮し、クロスレシオの6速MTとの組み合わせによって約296km/hの最高速、5.0秒の0-60マイル加速をマークした(5速AT仕様ではそれぞれ約266km/h、5.1秒)。2000年以降はZFと共同開発した「タッチトロニック」搭載車も設定された。4年半にわたって製造されたDB7 V12ヴァンテージ・クーペの生産台数は2091台。オープンボディのヴォランテ、GTを合わせた台数は同社にとって新記録となった。

「V8ヴァンテージ」
2003年のジュネーブ・モーターショーでコンセプトが披露されたのち、2005年に生産型が発表された「V8ヴァンテージ」。今ではおなじみとなった「VHアーキテクチャー」をDB9に続いて採用した市販モデルで、ドライサンプ潤滑方式の新しい4.3L V型8気筒を搭載した最初のモデルとなった。エンジンスペックは380bhp/302フィートポンド(約385ps/409Nm)で、車重は1570kg。0-60マイル加速は4.9秒、0-100マイル(約160km/h)加速は10.7秒をマークした。このエンジンはアストンマーティン専用のもので、ドイツ・ケルンにあるエンジン工場でV12エンジンとともにハンドビルド。車体の組み立ては英国ゲイドン工場の第2組み立てラインが用いられ、年間生産台数は3000台に迫る成功を収めた。その後エンジンは420bhp/346フィートポンド(約426ps/469Nm)を発する4.7L V型8気筒に変更。0-60マイル加速は4.7秒に、最高速は180マイル(約290m/h)をマークするにいたった。

「V12ヴァンテージ」
2009年にはヴァンテージの歴史を象徴するハイパフォーマンスモデルとして「V12ヴァンテージ」が発表。ベース車V8ヴァンテージからの重量増は50kgに抑えられ、DBSと同様にオールアルミニウム合金製6L V型12気筒エンジンを搭載。510bhp/420フィートポンド(約517ps/569Nm)を発揮し、6速MTとの組み合わせで、4.2秒の0-60マイル加速、190マイル(約306km/h)の最高速を誇った。2013年にはさらなる高性能版としてV12ヴァンテージSが登場。エンジンスペックは565bhp/457フィートポンド(約573ps/620Nm)に引き上げられ、2ペダル自動MT「スポーツシフトⅢ」との組み合わせによって、0-60マイル加速は3.5秒、最高速は205マイル(約330km/h)を実現。この加速性能は同社が手がけた市販車のなかで最速となった。その3年後には7速MT車が追加設定され、マニアを大いに喜ばせた。

「ヴァンテージ(現行モデル)」
現行のヴァンテージは2017年末に発表。同社最新のアーキテクチャーが用いられた2シータースポーツカーは、503bhp/505フィートポンド(約510ps/685Nm)を発揮する4L V型8気筒ツインターボと、ZF製8速ATを搭載。3.5秒の0-60マイル加速(0-100km/h加速は3.6秒)、195マイル(314km/h)の最高速を実現。「E-Diff」と呼ぶトルクベクタリング機能を備えた電子制御式ディファレンシャルを搭載する最初の量産アストンマーティンで、ボディ骨格はDB11と共通の接合アルミニウム製プラットフォームを中心に構築。発表時にアンディ・パーマー社長兼CEOは「よりシャープなスタイルと俊敏な運動性能を備えた本物のスポーツカーである新型ヴァンテージは、まさにエンスージアストが待ち望んでいたアストンマーティンのピュアなドライビングマシンといえるでしょう」と紹介している。2019年には、モータースポーツからインスピレーションを得てグラツィアーノ社が開発を担当し、“ドッグレッグ”と呼ばれる独特なシフトパターンを備えた7速MTを搭載した「ヴァンテージAMR」が登場。パフォーマンス・ドライビングの世界をさらなる高みへと引き上げている。

■歴代アストンマーティン・ヴァンテージの生産台数
・DB2:248台 ※クーペとオープンの合計
・DB4:135台 ※このほかにDB4 GTヴァンテージが6台
・DB5:68台
・DB6:335台 ※このほかにヴァオランテが29台
・DB6 MkII:70台 ※このほかにヴォランテが13台
・DBS:290台
・AMヴェンテージ(6気筒):70台
・AM V8ヴァンテージ:372台 ※このほかにヴァンテージ・ヴォランテが194台
・V8ヴァンテージ・ザガート:52台 ※このほかにヴァンテージ・ヴォランテが8台
・ヴァンテージ/V8ヴァンテージ:273台 ※このほかにスペシャルモデルが40台
・DB7 V12ヴァンテージ:2086台 ※このほかにヴォランテが2056台
・V8ヴァンテージ:1万5458台 ※このほかにロードスターが6231台
・V12ヴァンテージ:2957台 ※V12ヴァンテージSを含む全タイプの合計

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