【比較試乗】「メルセデス・ベンツ Sクラス vs BMW 7シリーズ vs アウディA8 」極上の移動空間を擁する真のフラッグシップとは?

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まさに各ブランドを代表するフラッグシップ対決であるこのクラスでは、最先端テクノロジーの採用はいうまでもなく、音や振動を抑えた快適な居住空間、さらには上質な乗り心地と卓越したドライビングプレジャーといったトータルバランスが求められる。その頂点に立つモデルは?

比較車両は3車3様の異なるパワートレイン

そもそも「フラッグシップ」とは日本語にすると「旗艦」を意味し、艦隊の司令官や幕僚が座乗して指揮をとる軍艦のこと。指揮官の階級を示す旗章を掲げるので、この名が付いたとされている。現代では、自社製品の中での最高級品や系列店の中での主力店や本店などを呼ぶ場合もある。ドイツ3強のフラッグシップはそれぞれアウディがA8、BMWが7シリーズ、メルセデス・ベンツがSクラスということになっている。アウディはR8、メルセデスはAMGなど、A8やSよりも高価なモデルが実存するものの、“メーカーの技術の粋を集めたトップモデル”という広義では、A8や7やSがフラッグシップと呼ばれるに相応しいと言える。

MERCEDES-BENZ S 400 d 4MATIC Sports Limited/曲線を大胆に使って伸びやかで広く見せるインテリアデザイン。前後重量配分は53:47で悪くなく、忠実で確実なハンドリング特性を持つ。ディーゼルは滑らかな回転フィールと振動の少なさに舌を巻く。瞬発力もある。

特にBMWとメルセデスは、自社のフラッグシップとしての確固たる存在感をアピールするべく、7やSにV型12気筒モデルを用意している。ダウンサイジングや電動化が叫ばれる中にあっても、それに逆行するような大排気量マルチシリンダーエンジンを(そんなにたくさん売れないのに)依然として揃えるのは、メーカーの意地とプライドと、そして何よりそれを求める顧客がいるからだろう。車種によってヒエラルキーがあるように、いちモデルの中にもヒエラルキーは存在し、V12搭載モデルこそが、実は本当の意味でのフラッグシップなのである。

BMW 745e LUXURY/フラッグシップでも良くも悪くもインテリアの雰囲気はいつものBMWそのもの。直6エンジン+モーターのハイブリッドなのに3台中もっとも軽く、49:51の前後重量配分はさすがである。回頭性もいい。

今回の3台、パワートレインの種類は奇しくもバラバラになったけれど、後席ではなくオーナードライバーとして目を付けるならもっとも現実的な仕様かもしれないし、いまの時代を色濃く反映しているようで面白い。A8は3LのV6ターボで、いわゆるダウンサイジングのユニットを積むA8 55 TFSIクワトロ。BMWは直列6気筒エンジンとモーターを組み合わせたハイブリッドを採用する745e、そしてメルセデスは直列6気筒のディーゼルターボエンジンを搭載したS400dの4マチックである。これを車両本体価格の高い順に並べ替えてみると、S400d 4マチック(1260万円)、745e(1221万円)、A855(1172万円)となり、745eを中心に上下約50万円の枠に収まっている。価格的にはまさしく競合と呼べる3台が顔を揃えたことになる。
今回初めて乗ったのはグリルが大きくなった7シリーズのみで、A8は最近試乗したばかりだった。実は個人的に、このクラスでは現行のSクラスがもはや誰も追いつけないようなレベルに達していて、アウディやBMWはさぞかし大変だろうなと勝手な心配をしていた。Sクラスの“独壇場レベル”とは、フラッグシップセダンに求められる性能の優先順位のトップにあるNVの処理の仕方と乗り心地に関してである。

AUDI A8 55 TFSI QUATTRO/全体的にフラットサーフェスで、機械式スイッチが極端に少ないA8はまさに“デジタルセダン”だ。車両重量はS400dと同値(車検証値)だが、前後重量配分は54:46でフロントがやや重い。乗り味もまた“デジタル”。

室内の静粛性は高いのだけれど、単純にノイズが抑えられているだけでなく、心地よく静かで上質な“静粛感”がそこには確かに存在する。キャビンに伝わってくる振動の低減も大きく影響しているのは間違いなく、このレベルに匹敵するのはロールス・ロイス・ファントムくらいしか思い付かなかった。乗り心地も秀逸である。エアサスペンションのセッティングが絶妙で、あえてばね上の動きを許容しながらも減衰の速度をゆっくりにして、フワッと柔らかい乗り心地を形成している。メルセデスはセミアクティブサスペンションのABCも持っているが、このAIRMATICで十分だと納得してしまうほどだった。

フォト=望月浩彦/H.Mochizuki ルボラン2020年2月号より転載

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