PSAとFCAが経営統合に向けて合意

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タバレス氏がCEO、 エルカン氏が会長となり世界第4位のメーカーグループに

PSA(プジョー・シトロエン・グループ)とFCA(フィアット・クライスラー・オートモビルズ)が経営の統合に向けて合意したと発表。以前からFCAは他のメーカーグループとの提携を探っており、ルノーと交渉を進めている話も伝わっていたが、ここにきてPSAと合意。設立される新たな企業体の株を50%ずつ保有する形で統合を進めていくことになる。新たな企業体の本社はオランダに置き、現PSAトップのカルロス・タバレス氏がCEO(経営最高責任者)、FCAトップのジョン・エルカン氏が会長に就くと発表されている。

両社の出資比率は50:50で、会長にはFCA会長のジョン・エルカン氏(右)、CEOにはPSAのカルロス・タバレス氏(左)が就任。本社は現在のFCAと同様オランダに置かれる。

今後、グローバルレベルで自動車メーカーとして生き残るには、電動化に代表される環境対策に加え、新たな顧客ニーズとなるコネクテッドやモビリティサービスにも注力していかなければならない。特に欧州ではCO2排出量を削減できない場合は巨額な罰金を徴収される法律の施行も迫っており、各社とも熱心に電動化を進めている。
PSAとFCAも電動化を進めているが、より販売台数を増やして競争力を高めるにはややノウハウが不足している。今後、電動化は自動車メーカーだけでなくエレクトロニクスに強いサプライヤーなども巻き込んでいく必要があるが、優位に進めるには販売台数は多いほうがいい。現時点では2社を合わせると年間販売台数は870万台を超え(2018年実績)、フォルクスワーゲン、トヨタ、ルノー日産(三菱含む)に次ぐ規模となり、優位性を保てる可能性は高い。
一方で中国の景気減速、北米市場や発展途上地域の販売台数減、英国ブレグジットにともなうEUの混乱など、先行きを見通しにくい事態もあり、別項にあるように今年1-9月の世界販売ではPSA、FCAともに苦戦している。この状況は今年初めから伝えられてきたが、それが経営統合に向けた動きに拍車をかけた可能性も高い。
日本に目を移すとプジョー車は久しぶりの1万台超えに向けて台数を伸ばし、シトロエンとDSも前年比増、フィアット、ジープも伸びている。そんなPSAとFCAの統合が、日本市場にはどんな影響をおよぼすのか。世界における動向もさることながら、日本での動きもぜひウォッチしていきたいところだ。

ル・ボラン2020年1月号より転載

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