【比較試乗】「アルピーヌA110 vs ルノー・メガーヌ ルノー・スポール」フレンチスポーツの作り方と鍛え方

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2019/10/24 09:00

フランスからのエントリーは、同じディエップ生まれの2台。エンジニアリングも基本ルノー・スポールの手になるが、一方は実用的なCセグメントハッチバックをベースに、全身をニュル最速に向けて鍛え上げたマッスル系。もう一方は、名門の血筋と精神を現代に蘇らせるべく、ゼロスタートで開発されたライトウェイトスポーツ。いずれもクルマをよく知るフランスならではのスポーツモデルだが、果たして代表の座はどちらの手に!?

このフットワークこそルノー・スポールの真骨頂

日本市場においてはニッチマーケットへの積極的なアプローチで年々じっくりとそのシェアを伸ばしてきたルノー。台数的にはカングーが大半を稼ぐものの、ルノー・スポール銘柄もコアなファンが多いことで知られている。
とりわけ、1990年代前半以降のクリオ=ルーテシアに設定されたRSシリーズは、親しみやすい価格やベース車と同等の高い実用性などもあって、身近なスポーティグレードとして認知されている。そこにメガーヌも加わって、ホットハッチカテゴリーではGTIを擁するVWに迫る存在感を記しているといっても過言ではない。

3代目となる現行型のメガーヌRSは、先代までの2Lエンジンから日産とルノーの合作となる1.8L4気筒直噴ツインスクロールターボにエンジンをスイッチ、最高出力は279ps、最大トルクは390Nmを発揮する。組み合わせるトランスミッションは6速DCTのみ。サスペンションは最も穏やかなシャシースポールが装着される。本国ではリアシートも撤去し130kgの軽量化を果たした一方で、300psにパワーアップしたホットバージョン「トロフィーR」が発表されたが、こちらの日本導入は未定だ。ルノー・ジャポンとしては当然ながらメガーヌシリーズ全体の均等な販売が望ましいわけで、現状はRSも標準仕様の延長線的な位置づけで、ファミリーカーとしても使える多用途性を重視した設定になっているのだろう。

「力=エンジン」よりも「技=シャシー」が際立つのがフレンチスポーツ。つまり絶対的な速さより、操る楽しさこそが第一義だ。

とはいえ、メガーヌRSのパフォーマンスはまったく侮れないものに仕上がっている。コーナリングのシャープネスは前型にも増して高く、特にタイトターンでの回頭性はちょっと常軌を逸しているように感じるほどだ。これはひとえに3代目に与えられた飛び道具の4コントロール、平たく言えば四輪操舵の恩恵だろう。
走行状況やドライブモードの設定に応じて同相1度、逆相2.7度の舵角を後輪側に加えるこのシステムは、キングピンオフセットを抑えてトルクステアを軽減する専用設計及びジオメトリーのフロントサスとの組み合わせでもって、付かず離れずの絶妙な足捌きで路面にビタッと染み入る。パワーを載せての旋回中も路面の凹凸には見事に追従し、唐突な挙動などはおくびにも出さない。形状を問わず、フランスのスポーツカーはフットワークこそが最大の売りだとつくづく痛感させられる。
正直なところ、4コントロールの旋回感は完全に癖を消しきれているわけではない。前述のタイトターン時の挙動などはちょっと性能が強調されすぎている感もある。が、造り手の側はこれを鞣して完全な自然体に近づける気もないだろう。違和感とまでは言わない範疇に抑えたんだから、むしろドライバー側も積極的にこの癖を楽しんで駆使してくれという想いがあっても不思議ではない。そしてこの4コントロールのおかげでサスペンション側の横力負担が軽減され、その余裕が乗り心地に転嫁されているのも事実だ。

フォト=郡 大二郎/D.Kori ル・ボラン2019年11月号より転載

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