【2019 フランクフルト・モーターショー】フランクフルトで示した独プレミアム勢のホンキ

ドイツ自動車工業会の主催で世界最大規模を誇っている国際モーターショーが今秋にフランクフルトで開催された。そのスケールは全盛期とはほど遠い縮小傾向とのことだが、地元ドイツ勢を中心に意欲的なEVコンセプトらを披露。来たるべき新時代を見据えた「現在」のリアルがここに!

旧来のショー体裁は消失。主役はEVに代わられた

9月10日、パリ・サロンと隔年で交互に開催されるフランクフルト・モーターショー(IAA:インテルナツィオナーレ・アウトモビル・アウスシュテルング)のプレスデイが開幕した。昨秋のパリやLA、年頭のデトロイト、3月のジュネーブなど、世界のモーターショーは出展社が減少傾向とはわかっていたが、今回のフランクフルトは衝撃的とすら感じる大幅な規模縮小だった。さすがにドイツメーカーは全て参加していたが、人目を避けるように新型キャプチャーを置いていたルノーを除いてフランスとイタリアのメーカーは全滅。米国系はフォードのみ。日本メーカーはホンダだけという惨憺たる状況だったのである。

一昨年までは会場の一番奥にあるホール11を占有していたBMWグループは、スタジアムのように巨大なスタンドとステージを廃止して、ブース全体も平屋建てに。ミニは最も奥に押しやられ、ロールス・ロイスは展示なし。空いたスペースにはジャガー・ランドローバーとヒュンダイ/キア、オペルそしてBMWアルピナのブースが並んでいたのだ。
ダイムラー・グループも「フェストハレ」と呼ばれる建物を以前から占有しているが、展示スペースは半減。ホール3のフォルクスワーゲン・グループも、ベントレーとブガッティの姿はなく、若干の寂しさが感じられた。
IoTの進化で人とモノと情報とお金の動き方が変化したことで、1カ所に同時に最新モデルを集めるモーターショーというリアルイベントが限界に近づきつつあるのだろう。その一方で、今回はフォルクスワーゲンID.3やポルシェ・タイカン、ミニ・クーパーSE、オペル・コルサe、ホンダeなど、EV(電気自動車)の市販バージョンが多数登場した。後に振り返れば、「ここが本当の意味でEV時代の幕開けだった」と歴史に刻まれるかもしれない。2021年から新規登録車の平均CO2排出量が95g/kmに制限されるとなると、当面は2台分に換算されるEVを売らない理由はない。普及のスピードを考えると、まさに今が絶好のタイミングなのだ。

またドイツでは昨今、CO2税の導入について議論されているほか、国民の環境保護意識の高まりで「緑の党」が躍進。連立政権入りすれば、これまでメルケル首相が強力にサポートしてきた自動車産業が大きく影響を受けることは必至だ。急進的な環境保護派を刺激しないためにも、エコなイメージを前面に押し出す必要がある。その結果が今回のEV祭りだ。
今年のIAAフランクフルトは、コンサバなモーターショーの終焉と自動車ビジネスの持続のためには、EVなしではいられない現実に直面した。 (竹花寿実)

リポート=大谷達也/T.Otani 竹花寿実/T.Takehana 桃田健史/K.Momota フォト=佐藤靖彦/Y.Sato ル・ボラン2019年11月号より転載

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