【海外試乗】「ミニ・ジョンクーパー ワークス・クラブマン」ライフサイクル半ばのフェイスリフトでさらに磨き上げられたゴーカートフィール

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2019/09/07 17:00

ミニのバリエーションのなかでは、英国伝統となるシューティングブレークのイメージもあって根強い人気を誇るクラブマンがマイナーチェンジを実施した。ただし、今回の国際試乗会に用意されていたのは高性能版のJCWのみ。そう、今回パフォーマンス面でのジャンプアップは、JCWがもっとも大きいのだ!

新エンジンだけでなくシャシー設定にも注目!

ミニのシューティングブレーク仕様というべきクラブマンがフェイスリフトを受けた。なかでも注目株は、そのトップパフォーマーであるジョンクーパーワークス(JCW)の変貌ぶりだ。

クラブマンの特長でもある観音開きのテールゲートは健在。3ドアに引き続き、テールランプはユニオンジャック模様とされた。

エンジンは排気量2Lのまま最高出力を231psから306psへ、最大トルクは350Nmから450Nmへと大幅に増強。このパワーユニット、基本的にはBMW M135iと同仕様で、過給圧を引き上げる一方で圧縮比を10.2から9.5に落として高出力化を実現したという。こう聞くとピークパワー優先でドライバビリティは低下しそうだが、これが杞憂に終わったことは後述の通りだ。

過給圧を高めることで、最高出力、最大トルクともに従来型比で30%前後を増強。排ガス規制は最新のEU6d-TEMPをクリアする。

新エンジンとともにもうひとつ注目したいのが、そのシャシーセットアップ。試乗会に同席したシャシー開発担当のエンジニアによれば、キャンバー角を0.5度増やすと同時に、フロントにトルセンLSDを採用したという。このエンジニアと議論を重ねたところ、ブレーキトルクベクタリングでステアリングレスポンスを人工的に高めるハンドリングが彼の好みではないことが明らかになった。キャンバーを強めてLSDを搭載したのも、ブレーキトルクベクタリングの助けをなるべく借りずにアジリティを確保したいとの思いが背景にあったらしい。このあたりの効果についても後ほど説明する。

ルーフを赤くペイントした2トーンカラーがスポーティで印象的。0→100km/h加速は従来型を1.4秒上回る4.9秒をマークする。

走り始めてまず感じるのは、路面からのゴツゴツとした振動を比較的はっきりと伝えてくる点。ただし、そのショックは質の高いダンパーによって雑味が取り除かれているので、硬いとは感じても荒れているとは思わない。ちなみに、欧州仕様ではオプションでアダプティブダンパーも用意されており、こちらのほうがコンフォート側の減衰率がより低く設定されているものの、試乗車はいずれもコンベンショナルなダンパーを装着していた。実は、これも前述したシャシーエンジニアの判断だったという。エレキの力よりもメカの力を信じる、なかなか骨太な考え方のエンジニアだ。

ダッシュボード中央の6.5インチ・タッチスクリーンはグラフィックデザインが見直されている。コネクテッドサービスも充実。

パワーアップされたエンジンはフラットなトルク特性が与えられていて全域で扱いやすいが、レスポンスが良好なうえにエンジン回転数の高まりとともにパワー感が高まる味付けで、退屈なところは皆無。むしろ官能的な仕上がりといっていい。
肝心のハンドリングは、切り始めの直後からリニアリティよくゲインが立ち上がるタイプで、俊敏な走りが楽しめる。エンジニアが説明してくれたとおり、ブレーキトルクベクタリングによる人工的な味付けが薄く、好感が持てる。重心高は決して低くないはずなのに、その割に腰高感を意識させないロール感もJCWに相応しいと感じた。

インテリアはブラックのレザー張り。スポーティな形状のシートはサイドサポートも十分。

唯一、弱点と思われたのは、シフトショックが大きめなため、ハードコーナリング中にギアチェンジをするとこれに影響されてステアリングが軽く左右にとられる傾向があったこと。同じくコーナリング中はアクセルオンでオーバーステア傾向になることも、後輪駆動のLSD搭載モデルに乗り慣れたドライバーは軽い戸惑いを覚えるかもしれない。
とはいえ、メカニカルセットアップでミニらしいゴーカートフィーリングを再現しようとした方向性には諸手を挙げて賛同したい。クラブマンJCW以外のモデルも順次この方向性にあらためられるというから、今後が楽しみだ。

後席のヘッドルームには数値以上のゆとりが。

フォト=BMWジャパン/BMW JAPAN ル・ボラン2019年10月号より転載

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