【海外試乗】「新型BMW3シリーズ・ツーリング」ワゴンのネガを感じさせない走りの質感の高さ

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いまだ高い人気を誇る輸入ワゴンの大本命

今年1月に国内に導入されたBMW3シリーズ。そのワゴン版となる3シリーズ・ツーリングの国際試乗会が、同社の本拠地となるドイツ・ミュンヘンで開催された。気になるのはセダンボディの違いやユーティリティの進化度合いだが、我々の期待を来れるほどの仕上がりを披露してくれたのだ!

日本車のワゴンは、長らく市場が低迷している。いまや、スバルのレヴォーグが孤軍奮闘しているくらいだ。かつて、レガシィツーリングワゴンやトヨタのカルディナが大人気だった時代もあったのに……。状況としては、ワゴンの市場をSUVが奪ったということ。ところが、欧州車はハナシが違う。SUVの市場は活気があるけれど、ワゴンも人気を保っている。合理的な人が多いから、SUVの機能を過剰と判断するのかもしれない。

実際に、BMW 3シリーズは2代目からワゴンボディを備えるツーリングを投入し従来型となる5代目までに170万台が販売されている。セダンに対するワゴンの販売比率も拡大し、従来型はドイツで66%、イタリアでは75%にも達する。日本の比率はそこまで多くないものの、他のプレミアム系ブランドを含めワゴンの人気は高い。やはり、状況がどうであれクルマとしての魅力があれば市場は反応するわけだ。

そんなワゴンの魅力が、3シリーズに追加された6代目となる新型ツーリングでも実感できる。ドイツのミュンヘン近郊で実施された国際試乗会には、3Lの直列6気筒ディーゼルを搭載し8速ATと4WDシステムを組み合わせる330d xDriveが用意されていた。このエンジンは、1750rpmから580Nmものトルクを発揮するだけに、ペダルに触れる程度にアクセルを踏むだけで力強さの余裕が確かめられる。実は、ボディ剛性を確保するための補強や大型のテールゲートを備えるため同エンジンを積むセダンよりも車重が約100kg上乗せされる。ところが、その負担を感じないどころか低回転域でもグイグイ加速。中回転域を超えるとパワーが乗ってくるから伸びのある加速も楽しめる。

ただ、この仕様は日本市場には導入されない。すばらしいエンジンではあるものの、3シリーズ用としては価格設定の折り合いがつかないという。代わりに、2Lの直列4気筒ディーゼルを搭載する320d xDriveが上陸してくるようだ。このエンジンも、400Nmという充実したトルクを発揮。しかも、低速用と高速用を連携させる2ステージ・ターボシステムを採用するので高回転域まで鋭い吹け上がりを示し、低いギアなら5000rpmに迫る勢いでブン回せる。それでいて優れた燃費も期待できるだけに、ロングランの機会が多いツーリングには打ってつけのエンジンだ。

ロングランの際には、走りの質感も問われる。ワゴンはキャビンとラゲッジスペースの間にセダンのような隔壁がないので、遮音や制振では不利になりかねない。でも、新型ツーリングはまったく影響がない。たとえば、ザラついた路面を通過する際のゴーッというロードノイズは主にリアタイヤからキャビンに伝わってくる。けれども、ボディがボリュームを絞ってくれるし荷室を含むスペースがセダンよりも広いので響きにくく、ノイズが耳に届いてもスッキリ聞こえるのだ。

乗り心地についても同様で、試乗車はダンパーの減衰力を連続可変制御するアダプティブMサスペンションを装備していたが、走行モードが「アダプティブ」なら市街地や高速道路では快適性を優先し、荒れた路面を通過する際の衝撃を吸収した次の瞬間から振動を速やかに抑制しブルッという余震がボディに残ることもない。コーナーが連続する郊外路や山岳路では、自動的にハンドリングとスタビリティを重視。ステアリングの手応えも少し重めになり、与える舵角の通りに向きが変わるダイレクトな反応を示す。ボディ剛性の不足によりフロントに対するリアの追従が遅れるといったことがなく、4輪からはバランスがいい接地感が伝わりクルマに対する信頼感が抱ける。つまり、走りの質感はセダンと比べても勝るとも劣らないわけだ。

 

さて、新型ツーリングは従来型と比べるとボディサイズがひと回り大きくなっている。そのため、ラゲッジスペースは5L拡大し500Lを確保。テールゲートを開けただけで使える床下を含めないプライマリーキャパシティに限れば35Lも拡大している。リアシートの背もたれは40:20:40で分割し、すべてを前倒しにすれば1510LとSUVに迫る。

使い勝手も上々であり、ユニークなのは床にアンチ・スリップ・レールズをオプションで組み込めること。中央のラバーが走行中は電動で2mm上昇し荷物の保持性が向上、停車時は下降し積み降ろしがラクになる。さらに、テールゲートと独立して開閉可能なリアウインドーを装備。新型ツーリングの開発過程ではこの機能を廃止しようという議論もあったそうだけれど、日本の要求により継続採用となったという。日本は駐車スペースが限られているだけに、テールゲートを開けるスペースがなくても小さな荷物ならリアウインドーから積み降ろしができるので欠かせない機能といえる。実は、日本は主要6カ国で構成されるインターナショナル・プロジェクト・マネージャー・ミーティングのメンバーとして開発にも係っているのだ。

また、注目すべき機能も追加される。パーキング・アシスト+用の前後左右4眼カメラの画像がドライブレコーダーとしても使用可能となる。これはぜひ日本仕様にも標準装備してほしいもの。すでに納車されている現行型セダンにもレトロフィットが可能となれば歓迎されるはずだ。なお、新型3シリーズツーリングは、2019年秋以降に320d xDriveから日本国内に導入されることが予想され、2Lの直列4気筒ターボを積む320iも遅れて追加されるそうだ。

【Specification】BMW 320d xDrive ツーリング
■全長×全幅×全高=4709×1827×1445mm
■ホイールベース=2851mm
■車両重量=1640kg
■エンジン種類=直4DOHC16V+ターボ
■内径×行径=84.0×90.0mm
■総排気量=1995cc
■圧縮比=16.5
■最高出力=190ps(140kW)/4000rpm
■最大トルク=400Nm(40.8kg-m)/1750-2500rpm
■燃料タンク容量=60L(軽油)
■トランスミッション形式=8速AT
■サスペンション形式=前ストラット/コイル、後5リンク/コイル
■ブレーキ=前後Vディスク
■タイヤ(ホイール)=前後225/50R17(7.5J)

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萩原秀輝
AUTHOR
2019/08/13 16:00

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