【国内試乗】「BMW M760Li xDrive」BMW流儀を全身に貫くドライビング・ハイエンドサルーン

萩原秀輝
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2019/08/08 11:14

2015年に登場した現行7シリーズが、モデルサイクル半ばに大がかりなフェイスリフトを受けた。圧巻はシリーズ史上最大のキドニーグリルで、ハイエンドサルーンらしい威風堂々たる存在感を濃厚に。もちろん、パワーユニットやシャシー、ドライバーアシストなど、その中身も全面的にアップデートされている。

フラッグシップとしての価値と存在感をアップ

2019年1月の上海ショーで、BMWは大胆な変貌を遂げた7シリーズを発表した。まず目を奪うのは40%拡大したキドニーグリルと50mm高くなったフロントエンドで、従来にも増して圧倒的な存在感を獲得。2018年は7シリーズの44%が中国市場で販売されただけに、大陸的スケール感に埋もれないだけの迫力が必要だったのだろう。

リアエンドは薄く水平なコンビネーションランプとクロームのガーニッシュにより装いを一新。サイドにはエアブリーザーもつく。

それでいて、スリムになったヘッドライトとリアコンビランプや、フロントフェンダー後部の垂直に立てたエアブリーザーなどにより、7シリーズならではの折り目正しい佇まいはキープ。特に、試乗車のM760Liはボディカラーがマット調のフローズンダークシルバーで、クローム類も光沢を抑えたセリウムグレー仕上げなので精悍さが増している。

トップモデルのM760Li xDriveには6.6L V12ツインターボエンジンを搭載。ちなみに、今回を機にPHVモデルには最新の直6ユニットが採用されている。

しかも、ドライビング・ラグジャリーセダンとしての価値にも磨きをかけている。プラグインハイブリッドを含むガソリンエンジンは全ユニットのパフォーマンスを向上、M760Liが積む6.6LのV型12気筒ツインターボは最大トルクを50Nm上乗せし850Nmに到達する。だからといって、力強さを持て余すことはない。市街地で周囲の流れに合わせる場面では8速ATが低回転域でシフトアップを繰り返し、速度によっては1000rpmでの走行も可能なフレキシビリティを実現している。

試乗車はロングボディのLiだけにトランクの奥行きはさらに深い。容量はスタンダードに対して+95Lとなる515Lが確保される。

もちろん、アクセルを少し踏み足すだけで、トルクメーターを表示すると500Nm以上のトルクが速やかに立ち上がる。そのため、力強さが際限なく溢れ出すような加速感がいつでも確かめられる。それでいてエンジン音は耳に届かないのだから、まさにラグジュアリーセダンにふさわしい余裕を思い知らされることしきり。ただ、減速から緩加速に移る場面で、トルク制御かあるいはシフト制御の問題だろうが、一瞬わずかなタイムラグが生じることが惜しまれる。

M760Li xDriveには20インチのMダブルスポークホイールが標準装備。セルフレベリング機能付きのエアサスペンションも標準となる。

そんな課題も、アクセルを踏み込む場面では無縁でいられる。アクセルを踏む量と速さに応じてトルクが立ち上がり、高回転域ではそれがパワーとして実感できる。そして、V型12気筒らしい高密度なビートを刻みながら一気に6000rpmを超えるまで吹け上がる。その際の加速感たるや、興奮を覚えるほどだ。こうしたドライビングセダンらしさは、ハンドリングでも確かめられる。後輪も操舵する機能を備え、コーナーがタイトになるほどステアリングを切り込んだときにスイッと向きが変わり大柄なボディを意識しない。コーナーがワイドになるとスタビライザーの強さを可変制御する機能によりゼロロールに抑えられ、信頼感あるスタビリティが伝わってくる。

ヘッドライトユニットはスクエアな形状にあらためられ、大型のキドニーグリルと一体化。旗艦らしい堂々たる顔つきに刷新されている。

高速走行時には、さらに優れた直進性を獲得している。レーンチェンジではステアリングに与える指1本分に満たない舵角に対しても正確な反応を示し、直進状態には自然な感覚で戻る。乗り心地は、走行モードが「コンフォート」なら路面の継目を通過する際にフワッという縦揺れを伴うことがある。だが、カメラにより路面状態を検出しダンパーの減衰力を予測最適制御する「アダプティブ」なら、快適な乗り心地を保ちつつフラットな姿勢を維持してくれる。
新型7シリーズは、ドライビング・ラグジュアリーセダンとして、さらにBMWのフラッグシップとしても、その価値も際立たせた。

フォト=郡 大二郎/D.Kori ル・ボラン2019年9月号より転載

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