【国内試乗】「トヨタGRスープラ」17年ぶりに復活したトヨタのリアルスポーツカー!

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ユニット決定後はトヨタが独自に開発

17年ぶりにフルモデルチェンジを遂げたトヨタGRスープラ。5代目はBMWとの提携による初のモデルであり、オーストリアにあるマグナ・シュタイヤー社のグラーツ工場で生産される。新生スープラは、どんなパフォーマンスを披露してくれるのか? 今回は全3グレードの走りをチェックしてみた。

アルミと鉄を適材適所に用いた骨格構造や、異なる素材同士の接合強度を追求したことで、トヨタ86の約2.5倍ものボディ剛性を実現。

どうせスープラの中身はZ4でしょ……。そうした指摘が聞こえてくるが、現実はそんな単純なハナシではない。そもそも、現在はメーカー単独でスポーツカーを投入することは市場規模が限られるだけに困難を伴う。それこそ、Z4でさえトヨタとBMWの協業が成立しなければ新型が誕生しなかったかもしれない。トヨタには、2012 年に86が発表された直後からスープラ復活を望む声がファンやディーラーからも届いていたという。スープラとなれば、直列6気筒エンジンを積むFRであることがヘリテイジとなる。だが、トヨタの6気筒はV型であり直列の生産を継続していたのはBMWだけだった。
そして、2013 年にはスポーツカーの共同開発について検討することが正式発表された。ただ、FC(燃料電池)システム、軽量化、ポストリチウム電池も共同開発するという広範囲な戦略的協業関係の構築も目的だった。

「RZ」は歴代スープラに採用されてきた直列6気筒エンジンの伝統を継承し、3L直6ターボエンジンを搭載。「SZ」「SZ-R」はチューニングの異なる2L直4ターボを設定。

実際に、トヨタはBMWのお仕着せでスープラの開発をしたわけではない。まずは、両社でどんなスポーツカーにするのかを検討。リアルスポーツとすることが定められ、ターゲットはポルシェのボクスター/ケイマンに。FRで立ち向かうためには、ディメンションの見直しが必要となる。その結果、ワイドトレッドでショートホイールベースというBMWにとってもかつてないバランスが実現されたわけだ。もちろん、リアルスポーツとして低重心化と前後重量配分の最適化も不可欠だった。
さらに、エンジンと駆動系やサスペンションといったユニットが決定した後、両社は独自に開発を進めた。その際、トヨタに対してBMWは何の制約も設けなかったという。つまり、エンジン制御やサスペンション設定などはスープラ専用となったのだ。たとえば、走行モードの選択範囲からして異なる。スープラが2モードなのに対して、Z4はエコプロを含めれば4モードだ。

スープラはヘッドライトを車両内側に寄せることでフェンダーのボリュームを豊かに見せ、凝縮したボディデザインとすることで、かつてのトヨタスポーツカーの伝統を継承している。トランク容量は290L。

実際に、3Lの直列6気筒直噴ターボエンジンを積むスープラRZの走行モードをスポーツにすると、アクセルを踏む量と踏む速さに対して超正確にトルクが立ち上がる。その立ち上がり度合いは、走行モードがノーマルのままよりも鋭くなる。それでも、ワインディングロードでアクセル操作に過度の緊張を強いることはない。強大なトルクがカタマリとなって飛び出すような演出がないからだ。しかも、エンジン回転数の上昇に合わせて快音が響く。中回転域まではBMWで聞き慣れたクォーンというサウンドだが、高回転域に突入するとトーンが変わる。コォーンという乾いた感じのサウンドが聞こえ、トルクが回転数によりパワーとして稼ぎ出される領域に入ったことが実感できる。
そのため、エンジン性能曲線によると最高出力の340psは5000rpmで発揮され6700rpmまではフラットになるが、パワーが上昇を続けているように感じ加速の勢いも保たれる。回転バランスが優れた直列6エンジンらしく、高回転域でクランクシャフトの中心軸がビシッと締まるような高精度感も魅力となる。なおかつ、組み合わせる8速ATはトータルのギア比がワイドレンジなので2速で6700rpmまでブン回しても速度は80km/h以内。高速道路の本線合流なら、こうした直列6気筒エンジンがもたらす快感が体験できる。しかも、ATをマニュアル操作するとパドルを指先で弾いた瞬間に電光石火の応答性でシフトアップ。同時に、エンジンがババッという脈動音を発する。アクセルを戻せばパンパンッという破裂音を発し、操作の通りにクルマが反応しているという臨場感が増す。

リポート:萩原秀輝/H.Hagihara フォト:小林俊樹/T.Kobayashi  ル・ボラン2019年8月号より転載

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萩原秀輝
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2019/07/10 11:15

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