【海外試乗】635psものパワーを誇る「ベントレー・ベンテイガ・スピード」の凄さとは?

2019/06/12 11:00

国内限定20台の希少モデル

ベントレーにとって初となるSUV、ベンテイガがデビューを飾ったのは2015年9月のこと。以来、608psのW12を搭載するスタンダード・モデルを筆頭に、V8、ディーゼル、ディーゼルPHEVと拡充を続けてきたベンテイガ・ファミリーは、今やベントレー全体の52%の販売比率を占める旗艦モデルへと成長を遂げている。

そのベンテイガの頂点に君臨するトップモデルとして、3月のジュネーブ・ショーでお披露目されたのがベントレー・ベンテイガ・スピードである。

ベントレーでは1923年に3Lの出力を71psから81psにアップしたスピード・モデルを追加した故事に倣い、コンチネンタルGTをはじめとする全てのモデルに、パワーアップを図ったホットモデルとして“スピード”をラインアップしてきたが、今回のベンテイガ・スピードでは6L W12 DOHCツインターボTSIの最高出力を608psから635psへとアップ(最大トルク900Nmはそのまま)。0→100km/加速が4.1秒から3.9秒に向上したほか、最高速度に至ってはランボルギーニ・ウルスの305km/hを上回る306km/hを記録し、名実ともに世界一速いSUVの称号を得るに至った。

国際試乗会が行われたのは、イギリス・ウェールズのアングルシー島にあるアングルシー・サーキット。普段はオートバイ・レースやセブン・レースなどが行われる、1997年設立の比較的新しいサーキットだが、高速コーナー、タイトコーナーを組み合わせたアップダウンのあるコースレイアウトとなっており、スポーツ走行のテストをするには最適の舞台(しかもアイリッシュ海を臨むロケーションも素晴らしい!)といえる。

最初に見て印象的なのは、ベンテイガ・スピード専用に大型化されたリヤスポイラーだ。よく見ると、フロントバンパーの下にもウイング状のスポイラーが追加されているほか、ボディサイド、リヤバンパー下にもスポイラーが備わり、アグレッシブさを強調している。

タイヤは前後ともに2285/40ZR22のピレリP-ZEROが標準で、試乗車にはオプションのセラミックブレーキも装着されていた。そのほかにベンテイガ・スピードであることを訴えるのは、ダークティントのグリルとフロントドア下のSpeedのエンブレムくらい。あまり声高に主張しすぎない分、不気味なほどの凄みがある。

では、ベントレーがベンテイガ・スピードにどんなマジックを施したのか? というと、そのほとんどが制御系のプログラミングのチューニングで、ボディシェルやサスペンションの剛性強化や8速ATの変更などは行っていないのだという。635psを発揮するエンジンも、過給圧やマッピングを変更しただけだ。

ここだけの話、そう聞いてちょっと拍子抜けしてしまったのだが、いざコースに出てみるとそんな気持ちはあっという間に吹っ飛んでしまった。アクセルペダルを少し踏むだけで、スーッと走り出すW12は、とても630ps以上あるとは思えないほど滑らかで扱いやすい。最初は「コンフォート」、「ベントレー」、「スポーツ」「カスタム」と4つある走行モードからオンロードでの走行に適切な「ベントレー」を選んでみたのだが、速いうえに静かで乗り心地もいいというベンテイガ本来の旨味は全く失われていかなった。

続いてモードを「スポーツ」に変える。これによりエンジンやギヤボックスのレスポンスも向上するというのだが、それよりも鮮烈に印象に残ったのが足回りだ。それまで多少のロール(それでもかなりフラットではあるが)を許していたエアサスペンションが締まり、ビターっと安定した姿勢で明らかに速くコーナーをクリアすることができる。48Vシステムのベントレーダイナミックライドも効いているのだろう、一瞬自分が全高1742mmもあるSUVを運転していることを忘れそうになるほど、ダイレクトかつフラットな身のこなしを見せてくれるのだ。

とても自分の腕ではこのクルマの限界を知るなんて無理! ということで、インストラクター役を務めてくれたガイ・スミスにステアリングを託し、同乗走行も体験することにした。ガイ・スミスといえば2003年のル・マン24時間でスピード8を操りベントレーに73年ぶりの優勝をもたらしたウイニング・クルーの一人で、コンチネンタルGT3を駆ってブランパン・シリーズなどに参戦を続けるファクトリー・ドライバーのトップガン。ベンテイガ・スピードのドライバーとしてこれ以上ない人選である。

体感的に自分でドライブするのよりも2倍も3倍も速いスピードで走るスミスのドライビングテクニックはもちろん凄かったが、それよりも驚いたのは結構強引にステアリングを切り込んでも、ラフにスロットルを煽ってもスタビリティ・コントロールが効いて、挙動を乱すことがなかったことだ。さらにセラミックブレーキのストッピングパワーも申し分なし。サーキットでの速さ云々よりも、635psで2491kg(総重量3250kg)という途方もないパワーを持つ巨体を受け止めるに十分なポテンシャルをシャシーが持っていることを確認できたことは、大きな収穫だった。

このベンテイガ・スピードの日本への導入はわずか20台。その価格は2945万4545円(税込)ということだが、そのエクストラを払う価値は十分にある。

問い合わせ先=ベントレーモーターズジャパン℡0120-97-7797
https://www.bentleymotors.jp/

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