【国内試乗】「スズキ・スイフトスポーツ」徹底した軽量化で欧州車にはない魅力を獲得

いろいろなクルマに乗った人こそスイスポはオススメ

そんな超軽量ボディには、1.4Lにして140ps/230Nmの出力を発揮する直列4気筒直噴ターボ「K14C」型ユニットが搭載されている。
このエンジンがもたらす恩恵は、単純明快。ずばり速さだ。
スイフトスポーツといえば先代まで1.6L自然吸気の直列4気筒ユニットを搭載し、その気持ちいい吹け上がりで多くのファンを獲得していた。
しかし現行スイフトは次世代への生き残りをかけて、この自然吸気ユニットと決別を図った。
当然ながらこれにより、かつての小排気量NAならではの爽快感は手放すこととなった。しかし代わりに、+4ps/+70Nmの出力アップを獲得。特に最高出力よりも最大トルク増大に主眼を置いた性能向上は大正解だった。

メーターパネル中央にはブースト計のディスプレイも可能で、スピードメーターの目盛りは260km/hまで刻まれる。

さらに現行モデルから3ナンバーとなったボディもその速さを後押しする。小型車が3ナンバー化することを嫌うクルマ好きは多いが、スイフトスポーツの場合はこれが当てはまらない。なぜなら、広げられた前後トレッドのおかげで足下には17インチのコンチネンタル・スポーツコンタクト5が収まり、先代モデル同様の天地に広い室内空間に対しては、重心を低めることができているからだ。なおかつ車両重量は、増えるどころか先代よりも軽いのである。

エンジンは燃圧を高め、ウエストゲートバルブを過給圧がかかりやすい制御へと変更してレスポンスを向上。排気抵抗を抑えたデュアルエキゾーストの効果もあり、スポーツエンジンといってもいいフィーリングを獲得している。

ボクは今まで何度もこのスイフトスポーツをサーキットで走らせたが、その度にこの小さなスポーツカーにドライビングの奥深さを教えられている。ブレーキング次第でニュートラルステア領域へとバランスする姿勢変化の面白さ。軽さとパワーの刺激。それに甘えず、17インチタイヤのグリップを使い切ることの大切さ。
いつまでも走り続けたくなる欲求に対して、この軽さとタフなボディはしっかりと応えてくれる。
こんなコンパクトスポーツが、200万円を切るスタートプライスで手に入るのはとても贅沢であり、奇跡だ。

いろいろなクルマに乗ってきた大人をも満足させる走り、そしてスタイリッシュな外観を手に入れたスイフトスポーツ。プライス以上の満足度は十分に得られるけれど、その性能を味わえば味わうほど、このクルマにはもっと予算を掛けて仕立ててもよいのではないか?と欲も出てくる。250万円くらいになってもよいからホットバージョンを出す価値は十分ありそうだ。
そうすればスイフトスポーツは、世界と本気で闘える日本車になるだろう……と、ボクは本気でそう思うのである。

リポート:山田弘樹/K.Yamada フォト:郡大二郎/D.Kori ル・ボラン2019年7月号より転載

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