【海外試乗】間もなく本格上陸! シトロエンC3エアクロスは2CVの再来?

室内のデザインはセンスのいい仕上がり

こちらは明るめのグレーを採用したディーゼルの6速MT仕様。アナログ2連メーターの上方にイグニッションONでヘッドアップディスプレイ表示が出現。インフォテイメントは7インチのタッチスクリーンに集約。

グレー基調に蛍光オレンジのアクセント・ラインが入っていて、メーターバイザーの上にヘッドアップディスプレイが備わる点は共通。色合いとしてはけっこう冒険している類だが、野暮ったく見えない点がさすがシトロエン、口にするのも野暮ったいが、パリ生まれの自動車メーカーだけある。近頃のコンパクト系の内装の仕上げといえば、Bセグに限らず化学繊維の安っぽさ丸出しで、殺伐としたレンタカー・グレード並のものが多いことを思えば、いい大人が落ち着けるレベルにあること自体、貴重だ。日本未導入だったC3ピカソの実質的な後継車種だけに、C3エアクロスの室内のルーミーさ・インテリアの洗練ぶりは、正常進化の範囲内ではある。

パノラミックサンルーフは開放感だけでなく、前席頭上の辺りまで開閉が効くようになった。センターコンソールにはダイヤル式のグリップコントロールが備わる。フロアシフト奥の収納は、スマートフォンをワイヤレス・チャージできるトレイになっている。遊びと実用性のバランス感が秀逸だ。

走りについては、鼻先の重いディーゼルよりガソリン仕様の方が明らかに前脚のつっぱり感がなく、自然なロールと軽快なハンドリングを見せる。乗り心地や段差越えで不快さはないものの、明らかに高速道路での巡航を得意とするタイプではない。というのも、角ばったボディが空力的でないのか、120km/h以上からアクセルを緩めるとエアブレーキが効いたかと思うほど速度は落ちるし、110km/h前後でメーター上の瞬間燃費も劇的に改善される。日本の法定速度内なら問題にならないはずとはいえ、130km/h巡航では風切り音も、小さな空気の流れが表面でブツかっているような、細かな揺れが始終伴う。

荷室は後席を目いっぱい後ろに引いている時は410Lほど。後席を畳んだ最大時は1289Lにまで拡大できる。後席ドリンクホルダーや、2段階の床下収納も備え、実用度が高い。

ようは、ニューC3よりルーフが高くなった分、それなりのもっさり感はある。ところがC3エアクロスで走ることは苦痛どころか、逆に下道で90㎞/h以下の領域で遠くに行くのが楽しいと思わせる。そこに、このクルマの矛盾した魅力がある。動的質感という観点で微視的に見たら粗はある。だがそれらは予想も制御も可能な粗で、わざわざ粗の出る走り方をしなくなる。逆に内装の居住性、というか居心地そのものがよいので、妙な寛ぎオーラも、そうさせる。

この、矛盾がひと巡りして醸し出されるスローな安心感。そういう意味で、ニューC3が至極快適に距離をグイグイと飲み込んでいくBXに近いコンパクトとすれば、C3エアクロスは2CVに近いと思う。シトロエン・ワールドは間口がより広くなって今も健在だ。

リポート&フォト:南陽一浩 K.Nanyo ル・ボラン2018年6月号より転載

■関連記事

南陽一浩
AUTHOR
2019/05/17 10:00

関連記事

愛車の売却、なんとなく下取りにしてませんか?

複数社を比較して、最高値で売却しよう!

車を乗り換える際、今乗っている愛車はどうしていますか? 販売店に言われるがまま下取りに出してしまったらもったいないかも。 1 社だけに査定を依頼せず、複数社に査定してもらい最高値での売却を目 指しましょう。

手間は少なく!売値は高く!楽に最高値で愛車を売却しましょう!

一括査定でよくある最も嫌なものが「何社もの買取店からの一斉営業電話」。 MOTA 車買取は、この営業電話ラッシュをなくした画期的なサービスです。 最大20 社の査定額がネット上でわかるうえに、高値の3 社だけと交渉で きるので、過剰な営業電話はありません!

【無料】 MOTA車買取の査定依頼はこちら >>

注目の記事

「ル・ボランCARSMEET」 公式SNS
フォローして最新情報をゲット!