東京湾から太平洋まで南房総の稜線を走りつなぐ(千葉県・白石峠)【絶景ドライブ 日本の峠を旅する】

2019/04/13 11:00

房総半島の最高峰の脇を東西に延びていく林道

嶺岡林道の鋸南町側からは東京湾越しに富士山も見える。

南房総のなだらかな山並みを越え、東京湾側の鋸南町と太平洋側の鴨川市を結ぶ嶺岡林道。ここは古くから人や馬が行き来してきた稜線伝いの道だった。

「ここには縄文時代の住居が復元してあったんだけど、このあいだ雷で焼けちゃってね」と教えてくれた農家のおじさん。林道沿いの田子台遺跡にて。

ご存じの通り、千葉県は三方を海に囲まれ、地続きで接する東京都、埼玉県、茨城県との境には江戸川と利根川が流れている。この2本の大河が分流する地点、千葉・埼玉・茨城の三県境から河口までの標高差はわずか8mほどしかない。まるで県全体が島のような地形をしていて、野田市などにある一部の飛び地を除けば、海か川を渡らないかぎり県外には出られないのである。

4本の林道を走りつないで房総半島を横断する道。全長は約30km。

広大な関東平野の一角を占めていることもあって、千葉県は山が少ないという点では全国でも有数の土地である。平均標高45mというのは、本物の島国である沖縄県(82m)のおよそ半分ほど。日本一の山国、「海こそなけれ……」の長野県にいたっては平均標高が1132mもあり、千葉県はその25分の1以下なのだ。
海と川に囲まれ、どこまでも平坦な土地が続く千葉県の中にあって、唯一、山らしい山が連なっているのが房総半島の南のエリアである。そこにそびえ立つのは標高408mの愛宕山。これさえ都道府県別の最高峰ランキングでは最も低い山なのだが……、その山頂間近を白石峠のある嶺岡林道は東西に抜けていく。

かつては放牧地だった林道脇のパラグライダー場。嶺岡林道の通る稜線には、数十年前までこのような風景が広がっていたという。

ちなみに嶺岡林道というのは、東京湾に面する鋸南町から外房の鴨川市まで続く4本の林道の総称で、正式には林道嶺岡中央1-4号線という名前が付いている。総延長はおよそ30km。標高172mの白石峠があるのは1号線の南房総/鴨川市境だが、道はそこからさらに稜線を上り続け、愛宕山にある航空自衛隊嶺岡山基地への分岐あたりでピークを迎える。

嶺岡林道の東側起点も海岸線の間近。なだらかな坂を下っていくと「いきなり」といった感じで外房の大海原が目の前に広がる。

この嶺岡林道は道幅が狭く、見通しも良くないため、気持ちいい走りを楽しめるわけではない。枝分かれする林道も多く、カーナビにも道路名が表示されないので道に迷う可能性も大きい。
しかし、小さなクルマでとことこ走りながら、のどかな南房総の風景を味わうにはこれほどいい道はないだろう。もちろんルート上に信号機は皆無。道に迷いさえしなければだが……、東京湾から太平洋まで房総半島をノンストップで横断することもできる。

掲載データなどは2016年7月末時点のものです。実際におでかけの際は、事前に最新の情報をご確認ください。

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