【国内試乗】「ロールス・ロイス・カリナン」正真正銘“ヨンクのロールス”

2019/04/04 10:00

乗員の快適性を優先した3ボックスSUV

一般的に“○○界のロールス・ロイス”といえば、その世界の超高級の代名詞である。まさに正真正銘SUV界のロールス・ロイス、その名も「カリナン」が日本に上陸した。それは世界最大のダイヤモンドの名前を冠した、究極のラグジュアリー・オフローダーである。

ロールス・ロイスは独自のアルミ製スペースフレーム構造 「アーキテクチャー・オブ・ラグジュアリー」を採用し、強固でパワフルかつ異次元的な静粛性と快適性を持った高性能4輪駆動車を作り上げた。

試乗前にカリナンの資料を眺めていたら“3ボックス”と書かれていて、「どう見ても2ボックスでしょ」と目を疑った。
そもそも3ボックスとは、エンジンコンパートメントとキャビンと荷室が前後のバルクヘッドを境に独立した部屋になっていることからそう呼ばれている。熱や振動や音を発するエンジンと、静かで快適な空間を望む人間と、時には匂いや汚れを車内へ持ち込む荷物は、隔離した方がお互いにとって幸せであり、3ボックスとはそれを実現できるとても合理的なパッケージである。いっぽうで、SUVやワゴンやハッチバックは、キャビンと荷室が同一空間を共有する2ボックスとなっている。
カリナンは外からみれば紛れもない2ボックスである。しかし、試乗車のように後席が2座の仕様を選ぶと、バックレストの背後にはガラス製のパーティションが備わり、キャビンと荷室を完全分離する。これなら確かに3ボックスを名乗ってもおかしくないというわけだ。これまで3ボックスしか作ってこなかった(クーペもコンバーチブルも3ボックス)ロールス・ロイスはその優位性をよく分かっていて、SUVとはいえ何よりも乗員の快適性を優先するなら3ボックス相当の空間を創出するべきと考えたのだろう。

計器の横の中央情報スクリーンには、初となるタッチスクリーン方式を採用。さらにセンターコンソールに格納されたスピリット・オブ・エクスタシー・コントローラーからも操作可能。その他にオフロードスイッチ、ヒルディセントスイッチ、エアサスペンションの高さ調節制御機能も備える。

ロールス・ロイスはこれまでBMWの7シリーズのプラットフォームを共有してきたが、現行ファントムから自社開発製に切り替えた。莫大の投資を顧みずこの決断に至った理由は主にふたつ。ひとつは、比類なき最上級のサルーンとして仕立てるには、やはりプラットフォームから刷新しないと限界があった。もうひとつは、ファントムの開発段階でカリナンのプロジェクトも並行して進んでいたので、SUVにも対応できることが必須だったからである。
ロールス・ロイスはこのプラットフォームの生産ラインを、本国イギリスではなくドイツ国内に新設した。ここに以前、取材で訪れたことがある。
プラットフォームはオールアルミ製のスペースフレーム構造で、最大の特徴はAピラーから前のフロント部、キャビン周辺のフロア部、そしてリアサスペンションからリアバンパーまでの3つのストラクチャーで構成されている点にある。これならば、ホイールベースを自由に変更できるし、セダンでもコンバーチブルでもSUVでも流用が効くからだ。

リアシートは、オーナーのニーズに合わせて3人用の「ラウンジ・シート」と2人用の「インディヴィジュアル・シート」が用意される。

取材をさせてもらったのは’17年の秋。実はその時、すでにラインにはカリナンのプロトタイプが流れていて、そこだけが撮影NGだった。初めてのSUVということで、何度もトライ&エラーを繰り返しながら開発していると聞かされた。ファントムとカリナンは、ドイツの工場でボディが組み立てられた後、陸路でイギリスの本社工場へ運ばれる。
カリナンのボディスペックはベントレー・ベンテイガよりもすべてのディメンションで大きく、キャデラック・エスカレードよりもさらに長い(全幅は狭い)という威風堂々とした大きさで、こういうサイズの乗用車に見慣れていないものだから、なんだかこちらが小さくなってしまったかのように感じる。ドアはファントムと同様の観音開きで、ダッシュボードの意匠やトリムの一部もまたファントムと共有している。スイッチ類は動的にも静的にも質感が高く、自動車のインテリアというよりは調度品の域に達している。

リポート:渡辺慎太郎/S.Watanabe フォト:柏田芳敬 /Y.Kashiwada ル・ボラン2019年5月号より転載

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