浜名湖の北を抜けてゆくもうひとつの東海道「姫街道」(静岡県/愛知県)【日本の街道を旅する】

本筋の東海道より遙かに古い歴史をもつ道

引佐峠の近くにも昔のままの石畳の道が残っている。

「江戸時代になって整備された東海道より、この姫街道の方が歴史的にみれば遙かに古い道なんですよ」
この話を聞かせてくれたのは、姫街道資料館の鶴見親義館長だった。本坂通りの風景は万葉集にも詠われ、沿道には多くの伝説も残っているという。「伝説を『秘めた』道だから、姫街道という説がひとつ。あと、古米のことを『ひね米』と言うでしょ。老成していることを『ひね臭い』なんて言うこともありますし……。つまり、新しくできた東海道に対して、古くからある道だから『ひね街道』。それが訛って姫街道になったという説もあります」

浜名湖の名物と言えばウナギ。関東のように蒸すのではなく、炭火でじっくり焼き上げる。浜松西ICそばの鰻処うな正(053-437-3451)では例年4月上旬から天然物(時価、要予約)も味わうことができる。

こうした説を聞いていると、お姫様が籠に揺られて……というイメージは次第に薄れてしまいそうだが、しかし、実際に訪ねてみると、この姫街道はなかなかにいい道なのである。

東海道との西の分岐、御油宿や隣の赤坂宿は、すぐ脇を走る国道1号バイパスの殺伐とした喧噪が信じられないほど昔の風情が色濃く残されている。300年近くも同じ建物で旅籠を営む大橋屋の19代当主・青木一洋さんが「先祖代々、古いものを後生大事にとっておくのが好きなだけでして……」などと言うのを聞くと、感心するより、頭の下がる思いがしてくる。

広重の『東海道五十三次・赤坂』に描かれたのが大橋屋。日本の東西を結ぶ東海道には多くの宿場町が栄えたが、今も旅籠として営業しているのはこの大橋屋だけである。

椿の原生林に覆われた本坂峠の旧道も、しっとりした味わいのある道で、脇道を見かけると、そのほとんどが苔むした旧街道の石畳である。そして、浜名湖を眼下に見おろしながらゆく引佐峠越えは、明るい光があふれていて、身も心もうきうきしてくる。
新居関所や今切の渡しが再開された後も、人々が好んで姫街道を歩いた理由が何となくわかる気がした。

通りから見える2階の部屋には松尾芭蕉も泊まったという。

※掲載データなどは2011年9月末時点のものです。実際におでかけの際は、事前に最新の情報をご確認ください。

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2019/03/23 18:00

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