「クールジャパン」のレーシングコンストラクターが復活! 再び動き出した「童夢の野望」とは? 【前編】

2019/03/06 19:00

新カーボンコンポジット工場が完成、風洞施設も再起動

日本を代表するレーシングカー・コンストラクターズとして知られる童夢が、滋賀県の米原駅前にある本社横に新しいカーボンコンポジット開発製造拠点となる『Dome Advanced Carbon Laboratory(童夢アドバンスド・カーボン・ラボラトリー)』を建設。また4月1日から50%スケールのムービングベルト風洞施設『風流舎』を再び童夢の元で運用していくことを発表した。

滋賀県米原市にある童夢本社。そのエントラントには、1979年に市販を目指して2台が製作された童夢P-2をはじめ、スバル製フラット12を搭載したジオット・キャスピタ、FIA F4のF110、さらにシビックTCRなどが展示される。

“童夢”と聞いて、あなたは何を思い浮かべるだろうか?

1978年のジュネーブ・ショーで衝撃的なデビューを果たしたスーパーカー、童夢 零、2カー・エントリーで79年のル・マン24時間に挑んだ零- RL、国産グループCカーとして初優勝を果たした84C、F1用のフラット12気筒を搭載したスーパーカー、ジオット・キャスピタ、94年に国産F3000として初のチャンピオンに輝いたF104、F1参戦を目指して開発されたF105、そしてガソリンエンジン車最速を目指してル・マンに挑戦したS102  e.t,c.……。確かにどれも童夢が作り出してきた名車たちだが、それらは彼らの40年以上にわたる歴史のほんの一部分に過ぎない。

なぜなら、レーシングカーやスポーツカーの開発、製作を通じて得た技術、経験を元にして行ってきた様々な企業、分野の研究開発が、童夢のもうひとつの“柱”だからだ。

Dome Advanced Carbon Laboratoryに設置されているオートクレーブ。直径2.5m、奥行き3.5mで、自動車のモノコックなら問題なく製造出来る大きさだという。

その代表的な例と言えるのが、他に先駆けて行ってきた風洞を使った空力開発とCFRP(炭素繊維強化プラスチック)を活用したカーボンコンポジット(炭素繊維強化炭素複合材)技術である。

まだF1などの一部でカーボンコンポジットが使われはじめた1980年代から研究を始めていた童夢は、85年に世界初のオール・カーボンコンポジット・フレームをもつオートバイ、童夢DCF-1ブラックバッファローを開発し鈴鹿8時間耐久レースに出場。さらに88年には一体成型のモノコックタブをもつ国産初のカーボンモノコックF3000マシンF101や、グループCマシンのトヨタ88C-Vの開発にも成功している。そして2001年には静岡県三島市にCFRP専用施設となる童夢カーボンマジックを設立。06年には滋賀県米原市に大小数基のオートクレーブやNCモデリング室を備えた新工場を建設したほか、タイに量産を担当する子会社、童夢コンポジット・タイランドを設立するなど、CFRPの開発、製造に関しては日本で屈指の技術をもつ企業として活動してきた。

Dome Advanced Carbon Laboratoryは、1階に設備・作業エリア、2階に管理室・倉庫エリアを設置。隅々までデザインされ整然とした佇まいは、いかにも童夢らしい。

工場内には大小のオートクレーブのほか、カッティングプロッター、冷凍保管庫、塗装ブース、そしてこの金属加工も可能な大型5軸NC加工機など、最新の設備が揃っている。

一方、空力開発に関しても処女作の童夢 零の開発に風洞を使った実験を活用。87年には当時の京都・大原の本社敷地内にすべて自社開発、設計の25%スケールのムービングベルト風洞施設を建設したほか、2000年にはF1級のコンストラクターの必需品ともいえる50%スケール・ムービングベルト風洞施設“風流舎”を滋賀県米原市に建設。童夢だけでなく、国内各メーカーの開発にも活用され、日本のレーシングカーのエアロダイナミクスの進化と向上に大きく貢献したのである。

フォト:童夢

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