欧州プレミアムが認めたYOKOHAMA【ADVAN Sport V105】の真価とは?(前編)

嶋田智之
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2018/12/26 14:00

クルマの性能を左右する最重要パーツである

自動車というものを構成するパーツの中には、自動車メーカー自身が事実上自らの手でつくることのできないものがある。極めて専門性の高いタイヤは、その代表選手のようなものだ。乗員の生命を左右するのはもちろん、そのクルマの性能や性格をある意味では定めてしまう重要なパーツでもあり、クルマの潜在的な性能が上がるにつれて自動車メーカーがタイヤに対して要求するレベルも年々高度になってきている。あまり知られてないことだが、タイヤを供給するタイヤメーカーにとって自動車メーカーに純正採用されるというのは、さまざまな意味でハードルが高いのである。

ADVAN Sport V105

ところがその分野において、ふと気づいてみると大幅にシェアを広げていた日本のタイヤメーカーがあった。横浜ゴムである。ヨーロッパのプレミアムカーブランドを中心に、“ADVAN Sport V105(アドバン・スポーツ・ブイイチマルゴ)”を純正装着するモデルが着実に増えているのだ。

タイヤを知れば、クルマはさらに面白くなる。ADVAN Sport V105(以下、V105)がとりわけ欧州メーカーで高評価を得ているのはなぜなのか? そもそもV105とはどのようにして開発されてきたのか? そのあたりを、横浜ゴムのタイヤ海外直需営業推進室 海外直需課 課長の川口周穂(かわぐちしゅうほ)さん、タイヤ第2設計部 副部長の大聖康次郎(だいしょうやすじろう)さんという、V105に深く携わってきたおふたりにうかがった。皆さんのタイヤ選び、そしてクルマ選びの、ひとつの参考にしていただきたい……。

──V105は欧州の、それもジャーマン・ブランドのクルマ達に次々と純正採用されている印象が強いのですが、そもそもV105の開発の狙いはどんなところにあったんですか?

タイヤ海外直需営業推進室 海外直需課 川口周穂氏

【川口】 V105は、もともと自動車メーカーの純正装着タイヤとして開発をスタートしたものです。次世代欧州車の要求性能を満たして、さらにプラスアルファの性能を味わっていただきたい、というところが開発の目的ですね。最初に納入したのがメルセデス・ベンツのSLKとCLSで、それが2011年のこと。それ以降、海外メーカーとしては引き続きメルセデスおよびAMG、2014年からはポルシェ、そして2018年からはBMWおよびBMW M、と純正採用されてきています。アフターマーケット用のV105を発表したのは2013年でした。

タイヤ第2設計部 副部長 大聖康次郎氏

──あくまでもOE(純正採用)向けが先行した、ということですね。

【大聖】そうですね。ADVAN Sportシリーズとしてはリプレイスやアフターマーケットに向けた製品も開発しているのですが、このV105の前にハイパフォーマンスタイヤの“AVSスポーツ”という製品もありまして、基本的にAVSスポーツとADVAN Sportの流れを汲むタイヤは、すべてヨーロッパのOE向けとして開発をスタートしているんです。そこで性能とかパターンとか仕様が固まってきたものが土台となって、リプレイス用タイヤに落とし込むという流れです。

──ちなみにV105の設計や開発は、いつ頃からスタートしたんですか?

【大聖】開発のスタートは2006年頃でした。ADVAN Sportのシリーズとしては、このV105の前にV103というのがありまして、それがまだ現役で自動車メーカーへのOE装着のための活動を進めていた当時、V103で出てきた“もう少し性能をこうしたい”というアイデアがある程度固まって、トレッドパターンまで変えていかないと次世代のプレミアムにはマッチしないと判断したのが開発着手のきっかけでした。

【川口】たしか2006年の終わり頃に、とあるヨーロッパの自動車メーカーから仕様データを受け取って、その要求性能を満たすためには新製品を立ち上げないということでV105の企画がスタートしたんでしたね。

──2000年代というのは欧州メーカーのクルマ達の性能が飛躍的に上がった時代。なのでV103では要求性能を満たせないレベルまで到達してしまったのですね。でも、そこを見据えて開発した新製品のV105を発売してからも、クルマの性能は上がり続けていますよね?

【大聖】実は先代のV103も現在のV105も、6~7年という商品ライフの中で、パッと見では判らないくらいの変化、進化をしてるんです。極端なたとえですけど、OE向けタイヤは1品1仕様だったりもします。例えば、パターンやピッチ配列といった細かいチューニングが、静粛性を重視するメルセデスやBMW用とポルシェ用とでは微妙に違っていたりとか。

──自動車メーカー納入用のタイヤは、ほぼ車種ごとの専用開発ということですか?

【川口】そうですね。OE向けのタイヤは、メーカーからの要望に応じてチューニングしていく車種専用開発といえるでしょうね。

【大聖】トレッドパターンなどはそんなにコロコロと変えたりはしないんですけど、例えばコンパウンドや内部構造などは、OEの場合にはすべて個々にチューニングし直しています。金型、つまりトレッドのデザインも、必要に応じて“よりドライ性能に特化”だとか“より静粛性を重視”という要求に合わせて、少しパターンをモディファイしています。

──自動車メーカーの要求に応じて臨機応変に開発した製品が純正装着されているというわけですね。

【大聖】そうですね。一方、リプレイス/アフターマーケット用のタイヤの場合は、逆にそれらを一旦クリアにして、最大公約数的にどんなクルマにもマッチするようにという考え方です。

──純正装着タイヤが対象モデルの特性に対して100点満点であるとするなら、リプレイス/アフターマーケット用は様々な性能を均等化しているということですか?

【川口】高次元でバランスさせたものとご理解ください。メーカー純正装着のV105はあくまでメーカーの要求にしっかり応えることを前提に開発しますので、性能の一部に尖っているところもあれば、丸くなっている部分があったりもします。その性能面のトータルバランス化を図ったのがリプレイス/アフターマーケット向け用のV105なのです。

──リプレイス/アフターマーケット用のものは一般のタイヤ販売店でも買えるわけですけど、そうした自動車メーカーの純正装着と同じ仕様のADVAN Sportは、それぞれの正規ディーラーじゃないと手に入らないのですか?

【川口】海外メーカーの純正装着品と同じ仕様のタイヤについては、一般的なタイヤ販売店でもお買い求めいただけます。海外メーカーに納入する認証タイヤはすべてV105がベースになっていますので、たとえばメルセデス・ベンツAクラス純正なら、225/45R17サイズの“ADVAN SportV105 MO”だとか、BMWの認証スターマーク付きタイヤだとか、そういうかたちでYOKOHAMAのタイヤ製品カタログにも掲載しています。

フォト&ムービー:菊池貴之 T.Kikuchi

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