スズキ新型ジムニー【オフロード試乗編】歴代ナンバーワンの悪路走破性

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新機構が実現した驚くべき走破性

スズキは新型ジムニーに関してはオフロード性能を重視して開発したという。その優れたオフロード性能を体験&大々的にピーアールしてもらうべく、メディア向けのオフロード試乗会を開催。舞台となったのは本格オフローダーが集う「富士ヶ嶺オフロード」だ。

先に述べると『ブレーキLSDトラクションコントロール』は、非常に素晴らしいデバイスだ! 対角線スタック陥ると、デフが作動して空転している側に駆動力を配分し、接地しているタイヤは回らなくなる。それでもアクセルを踏んでいるとセンサーが空転しているタイヤを感知してブレーキを掛ける。すると接地しているタイヤに駆動力が伝わり、難なく走り抜けるのだ。

オフロードではラインの取り方が非常に大切。地形を見ながらサスペンションのストローク、アクセルワーク、ステアリングを切るタイミングを総合的に考えながら走れるラインを選ぶ。わずか数センチのズレ、わずか数度の進入角度でスタックするかしないかを左右するほどシビアな時が多い。

このライン取りは経験で学ぶしかないドライビングテクニックのひとつなのだが、「ブレーキLSDトラクションコントロール」には不要。ラインを外しても、進入角度が多少ずれていてもノープロブレム。アクセルを踏めば呆気なく突き進む。まったくのオフロード未経験者でも、凸凹が続くモーグル地形を走ることが可能だ。新型ジムニーはとにかく驚くべき走破性を秘めている。

ただし、手放しでは喜べない。なぜなら、それまではドラテクがないからクリアできなかった箇所を超えたがために、さらなる難所が待ち構えていることがあるから。危険回避方法を体得していなければ確実に横転するだろう。

ドラテクを磨いて乗りこなすべし!

また、「ブレーキLSDトラクションコントロール」の作動は思いのほか強い。アクセルを強く踏み込んでいたらグリップした瞬間に勢い良く前進する。その際に車体が傾くとビギナーは反射的に傾いた側と反対にステアリング操作するが、それは横転の危険性を高めるだけだ。もし凸凹の激しい地形を走るのであれば、まずはオフロードにおけるドラテクの基本をしっかりと身につけてから挑戦するのが望ましい。

トランスミッションのギア比は高められているが、トランスファーのギア比はJB23と同じ。ローレンジ1速であれば従来通りの粘りある低速走行が可能だ。ただし2速、3速だとやや物足りなさを感じてしまうかも……。それは従来通りアフターパーツで対応すればよい。

トランスファーに関しては切り替えがレバー式になったのが嬉しい。バキューム式に変わりはないが、ボタン式だと切り替わったかどうかの手応えがないので、たまに切り替わっていないまま走ってしまうことがある(インジケーターで確認すれば間違えないのだが……)。それがレバー式だと手応えで判断できるから、より確実な操作が可能となったのだ。

やや荒れたダート路面を普通に走る分には非常に快適だ。林道ツーリングの足として最高の相棒と言えよう。ただし、オンロードのコース走行同様にダートをハイスピード走行するとサスペンションが衝撃の大きさとスピードに対応できず暴れ出す。まぁこれも競技レベルでの話なので、普通にオフロードを楽しむ程度であれば十分に満足できるだろう。

ヒルディセントコントロールとヒルホールドコントロールも効きは確実で、降坂と登坂時の安全性をサポートする。ビギナーにはありがたい機能だが、必要性を感じさせない人もいることだろう。そこでキャンセル機構付きとしているのが高ポイントだ。

新型ジムニーのオフロード性能は(もちろんノーマル状態)、間違いなく歴代でナンバーワン。それもダントツに高い。だから手足のように扱うには、ドライバーにもそれなりのスキルが要求される。新型ジムニーは乗りこなす楽しみを秘めた、非常に魅力的な本格的4駆だと断言できよう。(オンロード試乗編はコチラ

マニア必見! ジムニーマイスターが教える「新型ジムニー」のツボ!
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PHOTO:石上智章 TEXT:内田 靖

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