両ブランドの50周年を記念
日産は6月29日、イタルデザインと共同開発したプロトタイプ車「Nissan GT-R50 by Italdesign」を公開した。
このプロトタイプは日産GT-Rニスモの2018年モデルがベース。GT-Rとイタルデザインそれぞれの50周年を記念するモデルで、7月に欧州で実車が初公開される。
「『何の制約もなくGT-Rをつくったらどうなるだろう』とこれまで何度考えたことでしょう。今、それを実現できるのです」と日産のグローバルデザインを担当する専務執行役員のアルフォンソ・アルバイサはコメント。「これはふたつの大きな瞬間が交差するまたとない機会でした。自動車業界に大きな足跡を残してきたイタルデザインが50周年を迎え、ワクワクさせる興奮を生み出し続けてきた日産のGT-Rも50周年を迎えます。このふたつの瞬間を祝うため、日産とイタルデザインは本プロトタイプを生み出しました」
イタルデザインは本プロトタイプの開発、設計、製造を手がけ、一方、独創的でキレのよい内装・外装デザインはロンドンの日産デザインヨーロッパと日産デザインアメリカが担当している。
フロントには、ほぼ車両の幅いっぱいに広がる個性的なゴールドのインナーパネルを採用。ボンネット上にはパワーバルジが鎮座し、シャープなLEDヘッドライトがホイールアーチから冷却用のインテーク上端へ向け配されている。サイドデザインではベース車より54mm低くしたルーフラインが目を引く。ルーフの中央部が低く外側が少し高いことで、筋肉質な印象を与えていることがわかる。フロントフェンダーの特徴的なエアアウトレット「サムライブレード」は、ドア下方部からショルダーラインまで配され、ゴールドカラーの嵌め込みがその存在を一層際立たせている。
リアデザインはホイールまわりの頑丈で力強いフレアーが、このクルマのトレッドの広さを強く印象づけている。ショルダーラインは、リアウインドー下部に向かってテーパーがかかっており、トランクリッドへ収束。リアウィンドーラインはベース車より長く、深くなっている。その結果、リア部分はゴールドの配色とも相まって独立した塊感の印象を与えている。
GT-Rの特徴である丸型テールライトは空洞を囲む細いリングのようなデザインで、トランクの中心とアウターパネルをつないでフロートしているかのような構成。そして大きな可変式リアウイングが、全体の印象を引き締めている。また、21インチの専用デザインホイールが、その堂々としたスタンスをさらに強調。「リキッドキネティックグレイ」塗装仕上げのエクステリアカラーは、50周年記念として「エナジェティックシグマゴールド」がアクセントになっている。
インテリアはモダンで高性能な系譜を受け継ぎ、センターコンソール、インストパネル、ドアの内張りには2種類のカーボンファイバーを、シート素材には黒のアルカンターラと、同じく黒のイタリア製レザーを採用。エクステリアにあわせてインストパネル、ドア、未来的なレーシングカーをイメージしたスイッチ類にもゴールドのアクセントが散りばめられた。専用ステアリングはハブとスポークがカーボンファイバー製で、リムはフラットボトムのデザインにマッチしたアルカンターラのトリムを採用している。
このモデルはデザインだけでなく、さらなるパフォーマンスも追求している。GT3での経験を活かして手作業で組み立てた3.8リッターV6ツインターボのVR38DETTエンジンは、最高出力720ps、最大トルク780Nmを発生する見込みだという。
パワートレインも改良し、GT3車両用の大容量・大口径のツインターボチャージャーと大型インタークーラーに加え、耐久性の高いクランクシャフト・ピストン・コンロット・ベアリング、高流量ピストンオイルジェットと大容量燃料噴射装置を採用し、カムシャフト、イグニションシステム、吸排気システムも改良。強化デュアルクラッチシーケンシャル6速リアトランスアクスルと、より強化されたディファレンシャルとドライブシャフトが、4輪にパワーを伝える。
足まわりでは、ビルシュタイン・ダンプトロニックを採用した新しいサスペンションシステムを開発。フロント6ピストン、リア4ピストンのブレンボ製ブレーキには赤いキャリパーを組み合わせる。タイヤはミシュランのパイロットスーパースポーツ(フロント255/35 R21、リア285/30 R21)だ。
「このモデルは次期型のGT-Rではありません。日産の技術力と日本のデザイン、そしてイタリアのコーチビルディングを結集して、両社の50周年を刺激的にクリエイティブな形で祝福したものなのです」とアルフォンソ・アルバイサは述べている。
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