軽量化と強度アップを両立
ボディ回りやシャシー部品、ブレーキローターなどに使われているカーボン素材は、軽量で高剛性というメリットと、加工しにくく高価というデメリットをあわせ持つ。その素材でホイールを作ればバネ下重量の大幅な軽減となることは想像できるが、車体を支え、タイヤを固定するホイールの構造上、カーボン製は難しいとされてきた。フォードGTやロールス・ロイスのブラックバッジにはカーボン素材のホイールが設定されていたが、アルミとの複合素材とされることが多かった。
その実現困難と考えられていたフルカーボンホイールをポルシェが新たな技術で実用化し、生産体制も整えて市販すると発表。従来のカーボンホイールとは異なり、ブレイデッド・カーボンファイバーと呼ばれる編み込まれたカーボンを使うのが特徴で、20%(約8・5kg)の軽量化と、20%の強度アップを実現したという。
ホイールディスクとも呼ばれるセンターおよびスポーク部は通常のカーボンファイバー(CFRP=炭素繊維強化ポリマー)で作られるが、それでも200以上のコンポーネントからハンドメイドで製作される。そしてタイヤと接するリム部は専用の編み込み機(ブレイディングマシン)で製作されるが、そのマシンは直径9mという円形の回転部を持つ大規模なものだ。そこで編み込み成形されたリムにディスクを組み付け、樹脂を浸みこませて高圧および高温処理を経て製品となる。
こうして完成したフルカーボンホイールは従来のカーボン製品より高密度で高い剛性を持ち、各部をよりコンパクトにできるメリットもあるという。この複雑な工程での生産を実現したのは自動車メーカーとしてはポルシェが初めてであり、写真でもわかるようにその仕上がりやルックスも群を抜いている。
このカーボンホイールはポルシェ911ターボSエクスクルーシブシリーズのオプション(フロント20×9J、リア20×11.5J)として設定され、2018年には市販される予定。ドイツでの価格は税込みで4本で1万5232ユーロ(約198万円)と価格もそれなりとなる。
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