資源として足りずに廃タイヤ輸入が6万トンを超える
リサイクルの優等生といわれる自動車用タイヤ。そのリサイクル率は9割以上と、大半が使用後も資源として活用されている。タイヤメーカーの団体である日本自動車タイヤ協会(JATMA)がまとめた’16年の廃タイヤリサイクル状況によると、廃タイヤの発生量は約9400万本、99万7000トンとなっており、’15年に比べて約100万本も減少している。廃車台数の減少に加え、乗用車用タイヤの販売減少によりタイヤ取り替え時の本数が減ったためで、新車販売やタイヤの売れ行きがあまり芳しくなかったのが要因だ。
一方で廃タイヤのリサイクル率は91%と、’15年より1%ほど落ちているものの相変わらず優秀で、90万3000トンがリサイクルされている。その内訳を見ると更生タイヤ用や再生ゴム用が約16%、燃料としての熱利用が63%、輸出が12%となっており、燃料として利用される廃タイヤが6割を超えている。とくに製紙工場では4割以上の41万トンが燃料として使われており、山がなくなったタイヤもしっかり日本の産業に貢献しているというわけだ。
だが、JATMAによると国内で発生する廃タイヤだけでは燃料需要を満たすことができず、海外からの廃タイヤ(切断品や破砕品)の輸入が続いているという。’16年の輸入量は6万6000トンとさほど多くはなく、その量も減少傾向にあるが、コストの関係などで輸入廃タイヤを使う業者も少なからず存在しているようだ。
一方で不法集積と不法投棄も後を絶たず、’17年2月現在で不法集積が全国で3万1966トン、不法投棄が3775トン、合わせて3万5741トンと報告されている。10年前の’07年が6万5750トンだったことを考えるとほぼ半減しており、廃タイヤ総数から見れば3%程度なのだが、不法集積は人目に付きやすく、火災などが発生しやすい面もある。リサイクル優等生である廃タイヤがネガティブにとらえられないためにも、不法集積・投棄タイヤの対策は強化していく必要がありそうだ。クルマの持ち主も廃タイヤの行く末を考えて、しっかりしたタイヤショップでタイヤ処理費用を払い、確実に処分にすることを忘れないようにしたいものだ。
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